「すげー普通の会社員」で、変わりたいと思いながらもいつも何も変えられず、自信を失い続けている「僕」。彼のもとへ、うさん臭いゾウの頭の神様、ガネーシャが現れた。こてこての関西弁で、大きな腹をさすり、宙に浮いている。歴史上の偉人を育ててきたとのたまい、「僕」が望み、契約するならば、「僕」を成功へ導いてくれるという。
契約とは、次のようなことだ。ガネーシャに教えを乞うのなら、ガネーシャの出す課題を必ず実行すること。そうしなければ、自分の将来に対する「希望」をごっそりとられてしまい、それは別の人に渡されてしまう。
自分に嫌気がさしている「僕」は、この契約に賭けてみることにした。
読者は、「僕」とともに、ガネーシャから出される課題をこなしていくことになる。課題は毎日ひとつ出され、どれも難しいものではなく、一日でできるものになっている。けれど、どれも偉大な人たちが実践してきたことであり、人生を変えるほどの効果をもたらすものだ。
大切なことは、「とにかくきちんと実行すること」。しないと、読者のあなたの「希望」も、ガネーシャとの契約どおりにとられてしまうかもしれない。
かくして、「僕」のチャレンジが始まった。しかし、その前に、神様に教えを乞うのであれば……とガネーシャは供物を要求する。不安に思いながらも、親戚から送られてきたあんみつを渡すと、ガネーシャは息もつかずに食べまくり、「自分、いきなりホームランやで」と大興奮。
楊枝をくわえたガネーシャは、「僕」を玄関へ連れていき、「靴、みがけや」と言う。ふだん「僕」が会社へ行くときに履く黒い革靴は、泥や砂で汚れ、甲のあたりはデコボコになっていた。こんなことが「教え」なのかと憤慨する「僕」に、ガネーシャは面倒くさそうに説明しだした。
メジャーリーグで活躍するイチロー選手は、小さなころから、他の選手が帰ってもグラブをみがいていた。「神聖な商売道具を粗末に扱うことは考えられない」と言って。イチローの今の地位は、そういう仕事に対する姿勢があってこそなのだ。
「僕」にとっての商売道具は、働く一日をずっと支えてくれている靴なのだ。そういう、自分を支えてくれるものを大切にしてこそ、成功へ近づくのだという。
「僕」は、そんなことをして意味があるのかとわめく。しかし、「僕」のその態度こそ、「自分の考え方にしがみついている」ことであり、「成功しないための一番重要な要素」なのだ、と指摘され、不承不承靴をみがくことにする。
「僕」は、靴みがきは案外気持ちがよいことに気づく。
靴みがきはいいが、しかし、こんなことで本当に変われるのかという気持ちが消せない「僕」。もっと「秘訣っぽいこと」を教えろとガネーシャに迫る。すると、そういうのが知りたいなら、自分で買ったビジネス書を読め、それに、それは楽して成功したいという甘えの裏返しだ、と言われてしまう。
「今日は『募金でいこか』」というのが、新たなガネーシャの教えである。
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