リーダーシップは生まれつきの才能ではない。誰でも訓練次第で身につけられるものだ。
リーダーの訓練は「人は簡単には動いてくれない」という事実を受け入れることから始まる。「熱く語れば言葉は伝わる」「圧力をかければ人は動く」と思い込んでいると、チームは機能しない。リーダーならば、人に動いてもらう努力をしよう。
もうひとつ、リーダーに求められるのが「クリティカル・シンキング」である。これは、物事を多角的に見て、そこで得られた情報をもとに深く考え、本質的な課題を見つけたり、根本的な解決策を見出したりする考え方のことだ。
深く考えることは決してラクではないため、人は安易な結論に流れていきがちだ。そのような事態に陥らないよう、自ら深く考え、メンバーにも深く考えさせるのが、リーダーの役割である。
ここで気をつけたいのが人の思考を止める2大ストッパー、「感情論」と「二項対立」だ。
「感情論」は、物事を考えるときに「好き嫌い」だけを基準にすること。たとえば消費税廃止を掲げる政党があるときに、「消費税? 嫌だ。払いたくないから廃止に賛成!」という反応の仕方は感情論である。
「二項対立」とは、「消費税ゼロ。イエスかノーか」や「金持ちを保護するか、経済弱者を保護するか」のように、「A対B」という2択に物事を単純化することだ。AかBのどちらかが正解とは限らないのだから、安易な結論に飛びついてはならない。常に「物事を二項対立で見ていないか?」と自問自答し、違う視点から考える習慣をつけるといい。
リーダーにとって最も重要な技術は「チームとしての目標の立て方」だ。目標をうまく立てられるかどうかで、チームの成果は大きく変わってくる。
たとえばあなたが体育祭の実行委員長に任命され、先生から「どんな体育祭にするのか実行委員会で話し合って決めなさい」と言われたとしよう。さて、実行委員会の初回の打ち合わせでは何を話し合うだろうか?
NG例は、「去年の体育祭ではこんなことをしました。今年、変更したいことはありますか?」「とりあえずみなさんのアイデアを募りたいと思います。やりたいことを挙げてもらって、そこから絞っていきましょうか?」などと、「具体的に何をしようか?」という話し合いをいきなりはじめてしまうことだ。具体的な話からはじめると、必ずどこかで意見がぶつかり、議論が止まってしまう。
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