いま「ひとり広報」が急増している。広報を兼務する人も少なくなく、自ら広報活動をする経営者や個人事業主も「ひとり広報」だ。
「ないものは無い」と言われるほど、巷にものがあふれている時代。品質やコスパの良い商品は山ほど存在し、それだけで話題になることは極めて難しくなった。
だからこそ大事になるのが「切り取り方」と「伝え方」だ。たとえば商品そのものに際立った特徴がないネクタイも、「〇〇な人専用のネクタイ」「オンライン会議で映えるネクタイ」など、アピールの切り口を変えることで、話題になる可能性はある。商品やサービスの切り取り方を変え、社会の流れに乗せて伝えることこそ、広報の役割だ。広報活動が、ビジネスの成否を決めると言ってもよい。
現代は話題の入れ替わりが早く、日々新たな潮流が現れては消えている。フットワークの軽い「ひとり広報」は、刹那的に現れた潮流を瞬時に捉え、乗っかることができる。上司などの確認が必要な広報部と違い、自ら判断してリリース文を作り、発信できる。
時代の流れのスピードに合わせた動き方ができるひとり広報にとって、現代は追い風が吹いている。
チャンスにあふれたひとり広報だが、もちろん課題もある。それは「知識・情報・話題・時間・繋がり」という5つの不足である。それぞれ以下のようなものだ。
見よう見まねで広報業務を始めたため十分な知識がない。
メディアが何を欲しているのか、自社の各部署がどのような仕事をしているかといった情報がない。
会社の規模が小さく、広報する話題がない。
業務が多く、とにかく時間がない。
これといった成果がなく、メディアやインフルエンサーとの繋がりがない。
先輩からしっかり教えてもらえ、メディアとの繋がりも強い大企業の広報部門とは、そもそもの働き方や、とるべき戦略が異なる。
5つの不足を抱えるひとり広報には「ひとり広報の戦略」が必要だ。
本書では、PRの意味や役割も含めて「広報」を用い、実践的な広報のコツをお伝えしていく。PRはPublic Relationsの頭文字を取ったもので、企業を取り巻くあらゆるステークホルダーとのあいだに、良好な関係や利益を築くことを指す。
情報発信だけを広報の仕事だと思っている人がいるとすれば、それはとってももったいない。PRという観点で見ると、メディアに出ることは手段の1つにすぎない。社会との関係を良好に構築するための有効な手立てとして、メディアの力を借りるのだ。
3,400冊以上の要約が楽しめる