アメーバ経営

ひとりひとりの社員が主役
未読
アメーバ経営
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アメーバ経営
出版社
日本経済新聞出版

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出版日
2010年10月05日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

企業経営を志す者の中で、著者・稲盛和夫の名前を知らない人はまずいないだろう。京セラと第二電電(現KDDI)を創業し、経営不振に陥った日本航空(JAL)をV字回復させ、日本経済の発展に大きく貢献した偉人だ。アメーバ経営は著者が長年にわたり築き上げた独自の経営管理手法で、高収益事業の根幹を成す概念である。

その本質は、組織を小集団に分けて市場に直結した独立採算制により運営し、経営者意識を持ったリーダーを社内に育成することにある。それと同時に、全従業員が経営に携わる「全員参加経営」を実現する。本書ではそのポイントを著者の経営論とともに、詳細に解説してくれる。企業体質の強化手法を端的に学べる一冊だ。

グローバルな市場競争は厳しさを増す一方、日本経済は依然としてさえない状況が続く。日本経済がその輝きを取り戻すには、全社一丸となった経営ができる企業が増えることが必要だ。本書は現代の日本企業に向け、力強いエールを送ってくれる。

2022年8月、著者は惜しまれながら逝去した。中国メディアも速報し、政府が定例会見で哀悼の意を表明したほどだ。海を越え、今もなお多大な影響を与え続ける稲盛翁の作り上げた経営哲学。その真髄をいまあらためて学び直すことの意義は決して小さくない。

著者

稲盛和夫(いなもり かずお)
1932年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長を務める。84年には第二電電(現KDDI)を設立、会長に就任。2001年より最高顧問。2010年2月、日本航空会長に就任。代表取締役会長、名誉会長を経て、15年より名誉顧問。このほか、84年に稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった人々を顕彰している。2022年8月逝去。主な著書に『稲盛和夫の実学』『稲盛和夫のガキの自叙伝』『稲盛和夫の経営塾』(ともに日本経済新聞出版社)、『生き方』(サンマーク出版)、『働き方』(三笠書房)などがある。
稲盛和夫オフィシャルホームページhttp://www.kyocera.co.jp/inamori/

本書の要点

  • 要点
    1
    京セラを創業した著者は、企業内の各組織をガラス張りにする「アメーバ経営」を経営管理の根幹に置く。アメーバ経営とは、「市場に直結した部門別採算制度の確立」「経営者意識を持つ人材の育成」「全員参加経営の実現」の3つを目的とした経営手法である。
  • 要点
    2
    アメーバ経営では、自らの付加価値をシンプルに把握できる「時間当り」の管理会計手法によって、従業員ひとりひとりの生産性を底上げする。
  • 要点
    3
    京セラは「人間として何が正しいのか」を問う哲学をベースにリーダーを育成することで、経営者意識を高め、全員参加経営の実現につながった。

要約

アメーバ経営の誕生

アメーバ経営とは
Dilok Klaisataporn/gettyimages

著者は鹿児島大学工学部を卒業後、京都の碍子メーカーである松風工業に就職し、当時新しい分野だったニューセラミックスの事業化に成功する。だが、上司との意見の対立により、自らの夢を実現できないと悟った。そうした経緯から、著者は京都セラミックス(現京セラ)を創業する。

これまで市場になかったさまざまなセラミック製品を開発・製品化し、会社規模は100名、200名、やがて300名へと急拡大していった。しかし、当時の著者は開発から製造、営業までひとりで社内を走り回っていた。経営素人であった著者は、成長し続ける会社をどうすれば運営できるのか、ひとりで悩んでいた。

そんなある日、突如ある考えが閃いた。「従業員100名まではひとりで管理できた。なら会社を小集団の組織に分け、リーダーに管理を任せよう。さらにそれぞれの組織が小さな町工場のように独立して採算を管理すればよい」。

会社の経営状況をオープンにすることで従業員の参画意識を高めることができると気付いた著者は、経営内容をガラス張りにする「アメーバ経営」を京セラの経営管理の根幹に置くことを決めた。

アメーバ経営を理解するには、大きく3つの目的を把握する必要がある。

第一の目的 市場に直結した部門別採算制度の確立

第二の目的 経営者意識を持つ人材の育成

第三の目的 全員参加経営の実現

要約ではこの3つの目的に沿った内容を取り上げる。

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要約公開日 2023.02.19
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