「自分のほうが、こいつより上だ」などと、はっきり口に出して言う人は少ない。だが、人間は自分自身の外見、能力、魅力などあらゆることにおいて「自分はまんざらでもない」と考えているものだ。「少なくとも平均点よりは上」と思っていることから、こうした心理は「平均点以上効果」と呼ばれている。
平均点以上効果を裏付ける研究として、ニュージーランドのオークランド大学のニキ・ハーレの研究が挙げられる。16歳から29歳までの男女314名に自分の運転技術を7段階で評価してもらったところ、被験者の自己評価の平均点は、運転技術、反射速度、判断力、安全運転、経験、事故をさける幸運度と、どの項目においても4.5点以上であった。そして、「事故に遭う危険」と言う項目のみ、4点を下回っている。運転技術は自分は平均以上で、事故に遭う危険は他人のほうが上だと考えているのだから、大半の人は自分に都合のいい考え方をしていることになる。
私たちは、心のどこかで相手をみくびっている。自分の心のそうした面を知るのは心地のいいことではないが、そういう傾向を知っておけばこそ、人と会うときに気をつけようと思えるものだ。
初対面の人に会うときは、「たぶん好かれる」と明るいイメージをもっておくといい。心理学には「自分の頭の中で考えていたことが、そのとおりの結果になってしまう」という「予言の自己成就」と呼ばれる現象がある。頭の中で考えていたとおりの結果が起こるのだから、明るいことを考えていたほうが得だ。
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