ホテルの結婚披露宴などで司会の仕事をしている著者は、あるときこんなシーンを目にした。ホテルの裏口で、業者の男性が重そうな段ボールを二箱抱えて納品に来ていた。そこへ素早く歩み寄った女性が、「お持ちします」と上の箱を取って運びはじめた。女性は、そのホテルのマネジメント部門のトップに近い立場の人だ。そんな人の「すぐに動く」気配りは印象に残った。目配り、気配りの基本は、自分がすぐ動くことだ。
また、著者の専門学校の教え子で、現在はヘアメイクアップアーティストとして活躍する女性に会ったときのことである。彼女の立ち居振る舞いや気遣いが完璧であり、そしてさりげないことに驚いた。聞けば、彼女の先生はとても気配りに長けた人で、その先生の先読みをして仕事をしているうちに、自分でも気配りができるようになったそうだ。そんなふうにすぐに動く努力を重ねていけば、いずれ大きなプロジェクトを任されるまでに成長していくだろう。
接客テクニックとしてよく挙げられるのが、「別れ際を大切にする」ことだ。「お客様はその姿が見えなくなるまでお見送りするように」ということだが、これは簡単ではない。
また別のケースとして、著者の知人が、友だちの奥様を、「あの人は最後まで見送っている」と褒めていたことがあった。聞いてみると、「彼女は見えなくなるまでずっと頭を下げている」とのことだ。
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