現代では、メールやメッセンジャーなどの連絡だけでなく、提案書や企画書、レポート、日報などが、仕事において当たり前のように求められ、書く機会が爆発的に増えている。書くことが仕事の評価にダイレクトにつながり、昇進の条件にもなる可能性もあるなかで、書くことに苦手意識を持ってしまっては大変だ。それでも、書くことが苦手、つらいと感じている人がたくさんいるのは、仕事の文章やビジネス文書の書き方を、誰も教わったことがないからだ。
小学校で教わった作文の書き方は、書けない元凶である。美しく、正しい文章を書かないといけない、ハッとするような言葉を見つけないといけないなど、小学校では文章に関する思い込みを植え付けられ、それが呪縛となるのだ。小学校の作文では、基本的に自分の「思い」を一方的に書き、美しく立派に表現したものが評価された。だが、ビジネスの文章で必要とされるのは、「事実」と「数字」、「エピソード(出来事やコメント・感動など)」の3つであり、立派で美しい文章表現は必要とされない。
また、作文では読者が想定されていないのに対して、ビジネスの文書には必ず読み手がいるという違いがある。自分が書きたいことではなく、読み手を意識して、相手のニーズに合わせて相手が求めているものを書くという発想転換ができれば、文章は一気に書きやすくなる。
文章において何よりも大事なのは、読み手が理解しやすいこと、すなわち、「わかりやすさ」である。わかりやすい文章を書くためには、起承転結の構成にこだわらず最初に結論から書くことや、美しい文章にしようとこだわらずに相手に伝わる文章にすることを心がけるといいだろう。
ビジネスで書く文章は、どんなに美しく書いたとしても、相手が理解できなければ意味がない。立派な文章を書こうとするのではなく、文章を単なるコミュニケーションの道具の1つとしてとらえて、肩の力を抜いて付き合っていったほうがいい。大切なのは、「どう書くか」ではなく、「何を書くか」である。
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