私たちは国語を教科として学んできているが、そもそも「国語力」とは自分にとって何か、自分にどれくらいの国語力があるかははっきりとしていない。現代社会では最高レベルの実用的な言語活動が求められているにもかかわらず、自分の国語力に自信がもてない人が多いのは重大な問題である。国語力は思考力を育み、他者と共感し合える知性の礎となる。国語力を鍛えなければ、真に人間性を培い、社会性を広範囲に発揮することは難しいのではないだろうか。
特にビジネスの現場では、的確に自分の考えを伝え、相手の考えを読み取ることができなければ、コミュニケーションが成立しない。そのためには、「生きた国語力」の基礎力が不可欠である。
本書はまず、「基礎を鍛える」ことから始める。ポイントは、「読解力」「文章力」「表現力」の3つである。
まず、国語力の土台は「読解力」だ。読解力には、会話や文章の意図を読み解く力だけでなく、その場の雰囲気などの「空気を読む力」も含まれる。言葉の正確な理解に基づいた対話ができれば、仕事も人間関係もうまくいく。読解力を鍛えることで、大量の情報から重要な情報を取り出してまとめ直す「要約力」、要約した内容を論理的に伝える「伝達力」、それらをベースに周囲の人たちと意見を交わす「コミュニケーション力」が身につく。これらが仕事においても重要な力であることは間違いない。
2つ目の「文章力」は、書き言葉を使う力だ。仕事上で話し言葉中心の文章を書いていては、相手に精神的に未熟な印象を与えてしまう。書き言葉を習得することで、ビジネスでも使える語彙を増やすことができる。
そして最後は「表現力」だ。自分の思いや考えを端的に表現する際、豊富な語彙を用いることができなければ、幼さの残る話し方になってしまう。
大人であれば身だしなみに気を配るようにTPOに応じて適切な言葉を運用する力を磨くことは、社会人として最低限のマナーである。
3,400冊以上の要約が楽しめる