東大教授が教える独学勉強法

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東大教授が教える独学勉強法
出版社
出版日
2017年12月08日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「リスキリング」が注目され、社会人の学び直しが奨励されるようになった。しかし、「何をどう学べばいいのか」「学校に行くべきか否か」と、“学び方の迷子”になっている方も多いのではないだろうか。

本書はそんな迷えるビジネスパーソンに手を差し伸べる一冊だ。東京大学経済学部教授の著者・柳川範之氏は、「高校・大学時代はほぼ独学で過ごした」という異色の経歴の持ち主である。中学卒業後、父親の転勤でブラジルへ渡った著者は、高校に通わず日本から持参した参考書などで一人勉学に励んだ。帰国後に大検を受けたが、再び海外へ。慶応義塾大学の通信教育課程へ進学し、ふたたび独学生活を送るようになった。本書は“独学のプロ”である柳川氏の実体験をベースにした、今すぐ役に立つ「独学勉強法」の決定版である。

柳川氏は、独学の魅力を「自分のペースで勉強できること」だという。そもそも学び方には相性があり、万人受けする勉強法や教本が自分に合うとは限らない。また、現代は社会変化がめまぐるしく、正解を求める記憶偏重の勉強は無用の長物となる可能性が高い。これからは自分の個性やペースに応じて主体的に学び、思考力、判断力、応用力、独創力を養う必要がある。独学はそれを実現するのに最適な勉強法であり、本書ではその手法について段階的かつ丁寧に紹介している。何かを学ぼうと思っているが「独学は難しい」「自分には向いていない」という方にとって、これほど心強い入門書はない。ぜひ、独学のファーストステップとして本書を活用いただきたい。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

柳川範之(やながわ のりゆき)
1963年生まれ。東京大学経済学部教授。中学卒業後、父親の海外転勤にともないブラジルへ。ブラジルでは高校に行かずに独学生活を送る。大検を受け慶応義塾大学経済学部通信教育課程へ入学。大学時代はシンガポールで通信教育を受けながら独学生活を続ける。大学を卒業後、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。
現在は契約理論や金融関連の研究を行うかたわら、自身の体験をもとに、おもに若い人たちに向けて学問の面白さを伝えている。主な著書に『法と企業行動の経済分析』(第50回日経・経済図書文化賞受賞、日本経済新聞社)、『契約と組織の経済学』(東洋経済新報社)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    勉強の本質とは、「生きていくときに必要な知恵を身につけること」である。これまでは知識・情報の記憶や「正解」を出すことが求められてきた。しかし今後は、自分自身の頭で考え、判断する力を養う勉強が必須となる。
  • 要点
    2
    独学のメリットは、自分のペースで勉強できることである。
  • 要点
    3
    独学をはじめる前には準備期間が必要だ。自分に合ったテーマや本を探すための、試行錯誤の時間をとりたい。
  • 要点
    4
    本や先生の言うことを鵜呑みにしてはいけない。批判的な視点で見て、自分なりの理屈を考えてみることが重要だ。

要約

今なぜ新しい「勉強」が必要か

勉強の本質とはなにか

私たちが勉強する理由、それは「生きていくときに必要な知恵を身につけるため」である。人生では、選択を迫られるシーンが何度となくある。そのような場面で「少し自信を持って決められるようになる」というのが、本来の勉強の目的であり、成果ではないだろうか。

これまでは、「何かに役に立つ知識や情報を覚えるため」というのが勉強の目的と考えられていた。しかし最近はインターネットやモバイル機器の普及により、知識や情報を覚えることの比重はどんどん下がっている。今は誰もがネット検索で簡単に情報を得られるようになったため、何かを詳しく知っていることの優位性は著しく低下している。

しかし、このような時代になっても勉強の本質自体は変わらない。知識や情報のウエイトが低くなっただけで、目的はあまり変わっていないのだ。一方で玉石混淆の情報が氾濫しているため、選択の際の判断力や深く考えることの重要性が高まっている。つまり、「選ぶ」「決める」ことが主役の時代がやってきたのだ。

これからは、自分の頭で考え、自分自身で判断する力をつけるための勉強が求められる。そして、その有効な手段の一つが「独学」なのである。

自分なりの答えを考えること
francescoch/gettyimages

高校までの勉強は、必ずどこかに正解があった。受験勉強もまた正解か不正解だけの世界である。しかし、このような勉強は学びの本質とはかけ離れている。だから大学に入ると、何を学べばいいのかわからなくなったり、学ぶことの楽しさや意義を感じられなくなったりしてしまう。

実際は、深く勉強していくほど正解がないことは多々ある。学者が研究している問題の多くもはっきりした答えはない。未知の世界を切り拓き、新しい「答え」を発見することが彼らの仕事だからだ。しかしその「答え」もまた正解とは限らない。

また、学問に限らず世の中のほとんどのことが、何が正解かよくわかっていない。だから仕事でも生活でも、正解のない問題にぶつかったときに、自分なりの答えを出すために考えていくことが重要なのである。

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要約公開日 2023.03.24
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