「大きくなったお子さんに、どう生きてほしいですか?」と聞くと、返ってくる答えの多くは「幸せでいてほしい」である。そこで「幸せになるためには、お子さんは何を学ぶ必要がありますか?」と問うと、親たちはハタと立ち止まる。「あまり考えたことがないからわからない」というのが本音のようだ。
毎日忙しい子育ての中、「子どもの未来のために、親として自分はどうあるべきか」を考える暇はない。もし考えたとしても、子どもの将来のためにどんな習い事やスポーツ、学習をさせるかといったことだろう。
しかし、私たちが本来考えなければならないのは、もっと基本的な才能である「生きる力」の発掘である。
「生きる力」とは、自分の人生を大切にし、さまざまな問題に対応できる力である。また、苦しいことに耐えて前進し、感情をコントロールしながら人とうまく付き合う力でもある。自分の人生を自分で作り上げていく力、それが生きる力なのである。
人は皆、生きる力を持って生まれてくる。しかしそれは、引き出されないと使えるようにならず、やり続けないと身につかない。自立とは、生きる力を身につけることである。
子どもの生きる力を引き出す第一歩は、彼らの存在を全面的に肯定すること、つまり「愛すること」だ。子どもの「あるがまま」を受け入れ、「ここにこうしていること」が肯定されて、はじめて本来の力は発揮できる。
そして次は、子どもを「できる」人として認め、子どもの成長に合わせて彼らの「できる」を見守ることだ。できる限り手出しはせず、求められたときのみ最小限の手助けをする。まかされた子どもは自分の力を使うようになり、その力は使うたびに成長していく。
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