「頭のいい子」というと、どのようなイメージをもつだろうか。先行き不透明なこれからの時代。学校や塾で何かを学び、それで「おわり」ではない。大人になったら学ばなくていい、なんてことは絶対にない。これからは「学び続ける姿勢」が一層求められる。
学び続けるエンジンになるのは、好奇心、興味関心、探究心。「もっと知りたい」「これはどうなっているんだろう?」そんな意欲や疑問を原動力に、自ら学ぶ子が育っていく。
本書は、好奇心や興味関心、探究心を培い、頭のいい子を育てるためのメソッドを、大手中学受験進学塾のSAPIX小学部に聞いてまとめた。SAPIX小学部はこれまで10万人以上もの小学生に中学受験指導をしてきた、いわば小学生向けの学びのプロ集団だ。
現在の中学受験の勉強では、知識を詰め込むだけのようなことは行われていない。「学びに関心をもち、学び続けられる子=頭のいい子」を育てるための土壌を耕すべく、本書は綴られている。
最初から学ぶことが好きな子はそうそういない。「『勉強しなさい』と言っても全然聞いてくれない」と悩む親は珍しくない。
では、なぜ子どもは学びに興味をもたないのだろうか。それは、楽しくなかったり苦手なイメージをもっていたりするからだ。子どもは楽しいことなら集中して何時間でも没頭できる。子どものこうした特性から考えると、すすんで学ぶ子になるために大事なことは、「学ぶことは楽しい」「勉強が得意」と思えるようになることだ。
「そんなこと簡単に言われても……」そう感じる人もいるかもしれない。お父さんやお母さんが学ぶことに対する思い込みや苦手意識をもっていると、子どもは勉強嫌いになりがちだ。
「子どもに〇〇しましょう」というメッセージだけでなく、周りの大人が習慣を少しだけ変えることの大切さも伝えていくことが肝要だ。保護者の皆さんに「学ぶことは楽しいものだ」と心から思ってもらえることが、頭のいい子に育てる大切なアプローチなのだ。
学び続けられる「頭のいい子」とは、具体的にどのような力のある子なのだろう。SAPIX YOZEMI GROUP共同代表の髙宮敏郎さんは、土台となる力を次の3つだと語る。
①「知りたい、わかりたい」という好奇心
②「そうなのかな?」と批判的に考える力
③自らを表現する力
3つとも、何が正解かわからない今の時代を生きる子どもたちにこそ必要になる力だ。
①に関し、大事なのは、子どもが元来もっている好奇心を失わせないことだ。忙しい日常生活のなかで、子どもに「なんでこうなるんだろう?」と聞かれたときに、5分だけでも時間をつくり、「おもしろい視点だね!」と伝え、親子で会話のキャッチボールをしてみてほしい。
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