本書は「頑張っているのに結果が出ないセールス」を救いたいという思いから執筆されたものだ。
著者は800社以上のクライアントに声をかけ、「成果を出し続けている人」について、3年半かけて調査と行動実験を繰り返した。さらに、調査を通して見つけたトップ5%セールス(以下、5%セールス)の特徴を、一般的な「その他95%セールス」(以下、95%セールス)が9か月間真似をしてみるという「再現実験」を、のべ2.1万人で実施した。すると、再現実験を行った95%セールスの成績が平均1.2倍上がったのだ。
本書では、調査データと行動実験をもとにした「再現性の高い行動ルール」を紹介している。
「トップの営業成績を残す人」=「華麗なプレゼンテーションをする人」ではない。調査では、「プレゼンテーションは苦手だ」と回答したトップ5%セールスは全体の61%にのぼった。
ヒアリングで分かったのは、5%セールスは話し上手というより聞き上手ということだ。同じ社内で同僚にランダム・ヒアリング(対象者および回答者を無差別にピックアップして調査)をすると、78%の回答が「あの人(5%セールス)は聞き上手」と答えた。
話を聞く際、相手に好印象を与えるポイントは、「聞いている姿を相手に見せること」にある。5%セールスは、深くうなずき、あいづちを打ち、相手が話しているのをさえぎって話すことは決してしないようにしているそうだ。
メモをとっている姿を見せるのも、5%セールスの共通点だった。「今すごく大切なことをおっしゃったので、メモをとらせてもらってよろしいですか?」というと、心を傾けて「聞いている」ことが伝わり、相手も心を開いてくれる。
5%セールスの75%はラッキーパンチを経験している。営業におけるラッキーパンチとは、担当者の能力に関係なく、運よく大型案件を獲得することをいう。さほど重要視していなかった顧客から高額の発注をもらったり、ふらっと店舗に立ち寄った顧客が高額商品を即決購入してくれたりするようなケースだ。
5%セールスが「運」を味方につけるためにやっていることは2つある。
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