常におだやかな心を保つことは難しい。人間には感情があるからだ。喜怒哀楽の感情に心を支配されることで、私たちはおだやかな心を見失う。感情を押し殺す必要はないが、感情をむやみに外に向けて吐き出すのは控えるべきだ。一度吐き出した感情は元には戻らない。感情をぶつけられた相手の心もかき乱すことになる。むやみに感情をぶつけ合うのは、双方にとってよいことではない。
私たちの心を乱す最も大きな要因は、情報である。現代社会は情報過多の時代だ。しかし、そのほとんどは自分にとって無意味なものだ。無意味な情報に振り回されることで、私たちの心は乱されているのである。自分は自分だと言いつつも、どこかで他人や世間のことを気にしてしまう。さらに、価値観の多様化によって、自分と異なる考え方の人が周りに大勢いる。現代人は混沌のなかで生きているようなものであり、現代社会はおだやかな心を奪うものであふれているのだ。
そんな環境のなかで心のおだやかさを取り戻すにはどうすればいいか。明確な答えは見つからないが、禅の教えのなかにそのヒントがある。本書では、おだやかな心を取り戻すヒントとなるような禅語を抽出している。禅の教えのなかから、不要な情報に流されない生き方を自分なりに見出してほしい。
誰もが毎日を心静かに送ることを願っている。しかし、現実はなかなかそうさせてくれない。会社に行けば競争があり、社会のなかでは常に他人との比較に晒される。また、家に一人でいても、子供のことを考えて不安になったり、昨日の友人とのやりとりを思い出して怒りの感情がわいてきたりする。漠然とした将来への不安に押しつぶされそうになることもあるだろう。揺れ動く心をなだめるにはどうすればいいのだろうか。
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