もともとは「計算機」と呼ばれていたコンピュータは、「数」を扱う機械だ。それが文字や言葉を扱うことができるのは、コンピュータの内部では文字をすべて「数」として扱っているからだ。「コンピュターの内部で扱うために文字などを数で表すこと」を「符号化」という。文字だけでなく、音や画像も、コンピュータ内部では数字の並びとして表される。
コンピュータのスピーカーから「こんにちは」という音声が流れたとしても、コンピュータの内部では「数の処理」が行われているにすぎず、コンピュータが「人間のあいさつ」を理解しているわけではない。現在開発されているAIは、「人間と同じやり方で言葉を理解している」わけではないのだ。
言葉を使うAIが私たちの仕事や生活の助けになるならば、「人間と同じように言葉を理解すること」は必ずしも重要ではない。これからの機械の言葉にどう向き合っていくかを考える前に、まずはヒトの言葉の謎について考えていこう。
私たちは当たり前のように言葉を使っているが、そもそも「言葉とは何か」という基本的な問いにすら、明確な答えは出ていない。
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