人生・キャリアのモヤモヤから自由になれる 大人の「非認知能力」を鍛える25の質問
人生・キャリアのモヤモヤから自由になれる 大人の「非認知能力」を鍛える25の質問
人生・キャリアのモヤモヤから自由になれる 大人の「非認知能力」を鍛える25の質問
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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出版日
2023年02月17日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

よりよい人生を送りたいという問題意識はあるのに、本を読んでしばらく経つと、何もしていない自分に気付く……。キャリア構築の本を手に取ったことのある読者には、そういった経験をした人も少なくないのではないだろうか。

知識を頭で理解できても、実行する際に「自分にはできない」と自信がなくなったり、そもそも自分とは異なると感じたりすることがある。そうした挫折の原因は、これまでの「思考のくせ」から逃れられていないことにあるかもしれない。

著者によればコーチングは「想い」がベースとなり、自分自身が行動しながら結果を出していくものだ。ライフコーチである著者がクライアントに伴走する様子を、本書では各章に付属する「質問」形式で体験することができる。「質問」に答えながら読者が自らの正解について考えていくと、キャリアをどのように構築するかという以前に、自分自身の行動を妨げる思い込みや、思考のくせに気づける。

悪癖を徐々に排除し、自分の心の状態を整えることが、次への一歩を踏み出すための重要な段階である。こうした過程を経て、変化の激しい人生100年時代において「何があろうとも道を切り拓いていける自分になる」ことができるというスキルは、「どのように」道を切り開くかに目が向きがちな方には目からうろこであろう。

人気ライフコーチによるコーチングを体験したいという方はもちろん、キャリアや人生を捉え直すための新しい切り口を求めている読者にとっては、本書は人生の大きな転換を促す助けとなるはずだ。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

ボーク重子(ボークしげこ)
Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。ICF(国際コーチング連盟)会員ライフコーチ。アートコンサルタント。
福島県生まれ。30歳目前に単独渡英し、美術系の大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学、現代美術史の修士号を取得する。1998年に渡米、結婚し娘を出産する。非認知能力育児に出会い、研究・調査・実践を重ね、自身の育児に活用。娘・スカイが18歳のときに「全米最優秀女子高生」に選ばれる。子育てと同時に自身のライフワークであるアート業界のキャリアも構築、2004年にはアジア現代アートギャラリーをオープン。2006年、アートを通じての社会貢献を評価され「ワシントンの美しい25人」に選ばれた。
現在は、「非認知能力育成のパイオニア」として知られ、140名のBYBS非認知能力育児コーチを抱えるコーチング会社の代表を務め、全米・日本各地で子育てや自分育てに関するコーチングを展開中。大人向けの非認知能力の講座が予約待ち6ヶ月となるなど、好評を博している。
著書は『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)、『「非認知能力」の育て方』(小学館)など多数。本書は大人の非認知能力について書いた初めての著となる。

本書の要点

  • 要点
    1
    非認知能力とは、自己肯定感、自分軸、成功体質、主体性、オープンマインド、共感力などを総称した能力のことである。
  • 要点
    2
    社会的動物である人間は、コミュニティの一員として役立つときに幸せを感じる。周囲に応援されるキャリアのためには、自分以外の利他的な目的が必要である。
  • 要点
    3
    これからの時代におけるキャリアを描くためには、プランド・ハップンスタンスによって知識、経験、出会いという点を、「何となく」の未来の方向性に集積していくことが大切になる。

要約

自己肯定感

非認知能力とは

本書は、私たちの思考のくせに気づき、機能する思考と行動の新習慣に書き換えることを目指す。

これからの時代に必要なのは、自己肯定感、自分軸、成功体質、主体性、オープンマインド、共感力などを総称した「非認知能力」である。非認知能力は、従来のテストの点数などの目に見える能力とは異なる「目に見えない能力」であり、「生きる力」である。

非認知能力を身につけることは、自分という存在を無条件に認め、感情をコントロールし、多様なバックグラウンドを持つ人たちと良好な関係を築く術を学ぶことにつながる。本書の各章は、コーチングの4ステップ、すなわち「気づき→肯定→決断→行動」のステップに沿って書かれている。

気づきは自分のキャリア構築を妨げる思考のくせに気づくことを促す。次に、機能していない思考のくせがある自分を否定せず、「そういう自分も自分」と肯定する。続いて求める結果を決め、最後にその決断を可能にする行動を選択し、思考と習慣を書き換えていく。

本書での行動は、「視点を変える」ことと「視点を増やす」ことが基本となる。これまでどおりにやっていて結果が出ない場合は、物事を別の視点から見る「リフレーミング」と、見方を多様化することが求められる。

非認知能力の要・自己肯定感
designer491/gettyimages

自分はダメだ、どうせ無理と言った言葉がつい出てきてしまう人は「自己肯定感」を身につけることが必要だ。

著者は、自己肯定感を非認知能力の要だとしている。全ては自分を大切にして、あるがままの自分に価値を認めることから始まる。

日本は、2014年に内閣府が実施した7カ国を対象とした調査で、「自分に誇りを持っているか」「自分に長所はあるか」など全ての質問の回答で、平均を下回った。

また、自己肯定感は年齢を重ねるごとに低まるそうだ。人間は、1日に6万もの思考をする中で、8割がネガティブなものとされる。これを「ネガティブ・バイアス」という。私たちが成長するにつれて経験した失敗や失望は、ネガティブ・バイアスによって強く記憶に残る。こうすると、成功した経験は忘れたり見逃したりするため、「ダメな自分」が出来上がってしまう。

自己肯定感を下げるもう一つの要因に、比較がある。比較もまた、本能的に行ってしまうものである。

思考のくせを書き換える

ネガティブ・バイアスのせいでダメなところに目が行きがちになるが、あえてポジティブなところに目を向けるよう心がけたい。「足りない、まだダメだ」という意識から、「満ちているところもある」と思考するよう習慣化するのである。

ポジティブ探しには、「誰かに感謝された」「素敵な本を見つけた」といったどんな小さなことでも見逃さないのがコツである。こうしたことを見つけていくと、自分の思考は自然とポジティブに向かうようになる。

私たちは、良い子でないと価値がないわけではない。今ここに生きて存在していることにこそ価値があるのだ。誰かに褒められた時に自己肯定感が上がるのは、自己肯定感のコントロールを他者に委ねている状態である。

それをやめ、自分の存在価値を自分のコントロール下におく。このために有効なスキルが「セルフ・コンパッション」である。具体的には、寝る前に今日の自分にいたわりや感謝の言葉をかけるだけである。この習慣は、自分を慈しむことが、自分を前に進める大きな原動力となる。

そして比較してしまう自分に対して、自分の弱みと相手の強みを比較するのではなく、自分の成長のために比較することが有効だ。

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要約公開日 2023.07.21
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