「推される部署」になろう

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出版社
インプレス

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出版日
2023年09月11日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

あなたは、自分の部署が「社内外から推されているかどうか」について考えたことはあるだろうか。

これまでマネジャーやチームリーダーは、チームメンバー同士の関係性やそこから生み出される成果に注目し、チーム内の人間関係を良好にするために行動してきたはずだ。それなのに、なぜか部署の雰囲気が悪く、メンバーたちのモチベーションが低い……そう苦悩しているかもしれない。

本書を読むと、その課題の背景には、部署として「推されていない」ことがあるという可能性に気づくだろう。経営層や他部署、社外の人たちにとって、あなたの部署が「この人たちと関わりたい」「この人たちと仕事したい」と思える存在でなければ、仕事はうまくいかない。予算や人員を削減されたり、一方的に大変な業務を押しつけられてしまったりする。その結果、メンバーのモチベーションが下がり、成果が出せないためにまた予算や人員が削減されるという負の循環に陥るのだ――著者はそう指摘している。

本書の著者は、ワークスタイル&組織開発専門家として活躍する沢渡あまね氏だ。本書では、部署としてのブランディングをテーマとして、「推される」=「ファンを抱える」「応援される」部署になるための方法を教えてくれる。

マネジャーやチームリーダーに限らず、まずは本書を手に取り、部署のあり方について考えてみてほしい。「推される部署」に近づけば近づくほど、楽しく成果が出せるようになるはずだ。

ライター画像
Keisuke Yasuda

著者

沢渡あまね(さわたり あまね)
作家/ワークスタイル&組織開発専門家・企業顧問。『組織変革Lab』主宰。
あまねキャリア株式会社CEO/浜松ワークスタイルLab取締役/株式会社NOKIOO 顧問/大手企業人事部門顧問ほか。DX白書2023有識者委員。
日産自動車、NTTデータなど(情報システム・広報・ネットワークソリューション事業部門などを経験)を経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。趣味はダムめぐり。# ダム際ワーキング推進者。

本書の要点

  • 要点
    1
    「推される部署」になるには「ブランド」の考え方が不可欠だ。ブランドは「Trust(信頼)」「Special(特別)」「Familiar(親しみやすさ)」の3要素で成り立つ。高圧的で話しかけにくい、説明が難しすぎるなど、「Trust(信頼)」と「Familiar(親しみやすさ)」が欠けている人は損をしがちだ。
  • 要点
    2
    部署のファンになってもらえるかどうかは、相手との接点と、その接点における振る舞いによって決まる。報告や連絡の仕方、言葉遣い、コミュニケーションのスピードなどを振り返り、振る舞いを改善するとよい。
  • 要点
    3
    部署としての期待役割は常にアップデートが必要だ。組織として目指す方向を確認し、行動計画に落とし込もう。

要約

「顔の見えない」部署から「推される」部署へ

部署がファンづくりをすべき理由

部署の立場が低い、「社内下請け」になりがち、「怖い」「近寄りがたい」と敬遠される、新設部署だから何をすればいいのかわからない、「何をしているかわからない部署」と言われる……本書ではこのような「顔の見えない」部署のことを、スタジオジブリの映画に登場する妖怪にちなんで「カオナシ」と呼ぶ。カオナシは、周囲から期待されず、面倒ごとだけを一方的に押し付けられたり予算や人員を削減されたりしがちな存在だ。これではメンバーのモチベーションも上がらない。

本書はそうした部署を輝かせ、「推される」部署、つまりファンがついて「この人たちと関わりたい」「この人たちと仕事したい」と思ってもらえる部署になる方法を解説する。ファンは、あなたの部署の良さを語り、協業先や異動先として推薦してくれるだろう。

【必読ポイント!】「ブランド」を理解する

「ブランド」と「推される部署」の関係
filadendron/gettyimages

「推される部署」になるためには、ブランドの考え方が役に立つ。ブランドとは「また買いたい」「また利用したい」と思わせる力であり、本書においては「(また)この人たちと一緒に仕事したい」と思わせる力だ。

個人で考えてみるとわかりやすい。たとえば、あなたはデータ分析が得意だとする。日々データ分析の仕事にコツコツと取り組み、成果を出していれば、データ分析の仕事がどんどん舞い込むだろう。その結果、経験と実績が増え、「あなた=データ分析のプロ」という「自分ブランド」が確立する。

自分ブランドは、意思決定が早い、作業が正確、交渉がうまいなど、あなたの行動パターンや行動特性によっても形成される。日々のあなたの行動が相手の「ブランド体験」(相手にとって、そのものごとや人がブランドになり得るかどうか)を創り、「またあなたと仕事したい」「いつかあなたと仕事してみたい」と思わせるのだ。

部署のブランドを確立すれば、あなたの部署は自然と「推される」存在になっていくだろう。

ブランドの3要素

ブランドは「Trust(信頼)」「Special(特別)」「Familiar(親しみやすさ)」の3要素で成り立つと言われている。これら3つの要素のすべて、ないしはいずれかが突出しているブランドが「強いブランド」だ。

高級ホテルや高級レストランは、日常では味わえない極上のひと時(Special)を必ず(Trust)体験できる。一方で、低価格の飲料やお菓子はFamiliarで勝負している。親しみやすく人々の記憶に残りやすいネーミングやキャッチコピーをつけ、CMで認知を高めて、いつでもすぐ手に入るようにしている。

あなたの部署は3つの要素のうちどれが秀でていて、どれを強化していきたいだろうか。それぞれ考えてみよう。

まず「Trust(信頼)」だ。必ず守っていることや譲れないこだわりはあるだろうか。たとえば「正確なインプットを心がけている」「受けた問い合わせに対してその日のうちに回答する」などだ。

次に「Special(特別)」だ。他者とは違う突出した体験を提供できているだろうか。具体的には「特定の技術や知識に秀でている」「最新のITツールを取り入れて、新しいはたらき方をしている」などが挙げられるだろう。

最後に「Familiar(親しみやすさ)」だ。あなたたちの業務内容は周囲に認知されているだろうか。話しかけやすい雰囲気になっているか、相談するための接点があるかどうかも重要だ。「問い合わせ窓口が明示されている」「快く相談に乗ってくれる」などが良い例となる。

意外と見落としがちなのが「Trust(信頼)」と「Familiar(親しみやすさ)」だ。誰にも負けない知識や技術を持っていても、態度が高圧的で話しかけにくかったり説明が難しすぎたりしている人は損をする。心当たりがあるなら、傾聴スキルや説明力を磨いてみよう。

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要約公開日 2024.01.24
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