2050年の世界

見えない未来の考え方
未読
2050年の世界
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見えない未来の考え方
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2050年の世界
出版社
日本経済新聞出版

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出版日
2023年07月19日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

未来予測の本は数多い。内容はさまざまだが、共通しているのは、遠い未来になればなるほど予測が難しいということである。

そんななか、世界でひときわ注目を浴びているのが本書だ。描き出す未来は2050年で、本書の出版からおよそ27年後となる。27年あれば大きな変化が起きるであろうことは想像にたやすい。しかし、具体的にどういう変化が訪れるのか、その輪郭を捉えることは困難だ。

ところが、本書は「変化をもたらす5つの力」を特定することで、2050年に各国がどのような存在になるのか、説得力のあるシナリオを提示している。著者は1994年に『2020年 地球規模経済の時代』の原著を執筆しており、当時著者が描いた世界はおおむね現実化している。豊富なデータと経済学、地政学、歴史的な洞察をもとに、複層的に未来図を描き出すその手腕は、見事としか言いようがない。

もちろん、本書とはまったく違う方向に世界が進む可能性はある。未来は複雑系の極致であり、何かが少し変わるだけで、最終的に大きな変化につながることもザラである。だが、変化が激しく先の見えない現代において、本書が予測と思考のための確かな足場を提供してくれるのは間違いない。教養書として読んでもおもしろいが、今後のアクションプランを考えるうえでも、きわめて有用な一冊である。

著者

ヘイミシュ・マクレイ(Hamish McRae)
英インディペンデント紙経済コメンテーター。メール・オン・サンデー紙に経済・金融に関わるコラムを執筆。ガーディアン紙、インディペンデント紙の金融面エディターを歴任。英国プレスアワードの年間最優秀ビジネス・ファイナンス・ジャーナリスト賞など多くの賞を受賞。主な著書に『2020年 地球規模経済の時代』(アスキー)、『キャピタル シティ』(フランセス・ケーンクロスとの共著、東洋経済新報社)、『目覚めよ! 日本』(中前忠との共著、日本経済新聞出版)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    世界に変化をもたらす5つの力とは、人口動態、資源と環境、貿易と金融、テクノロジー、そして政治と統治である。
  • 要点
    2
    2050年もアメリカ合衆国が支配的なのは変わらない。一方で、南アメリカの発展は、人口と面積の半分近くを占めるブラジルにかかっている。
  • 要点
    3
    人口が減り世界経済に及ぼす影響も小さくなるヨーロッパの重要性は下がっていく。
  • 要点
    4
    アジアは非常に重要な地域になり、中国とインドの存在感はさらに大きくなる。ただしどちらの国も大きな課題を抱えている。

要約

わたしたちがいま生きている世界

今日の世界が明日の世界を形づくる

国には変えられるものと変えられないものがある。国の経済について考えるときは、その点を区別することが大切だ。たとえば貧しい隣国に囲まれた内陸の小国が、自分たちの立地を変えることはできない。一方で、経済運営については変えることができる。

2050年までに、経済の地位が劇的に上がる国もあれば、あまり変わらない国もあるだろう。しかし、経済成長の原動力について、画一的な見方をするのもよくないことだ。そうした考え方は行き詰まっており、それ以外の要因のほうが大切になる。本書では、そうした要因のことを「変化をもたらす5つの力」と呼ぶことにする。この5つの力とは、人口動態、資源と環境、貿易と金融、テクノロジー、そして政治と統治である。

変化をもたらす5つの力

人口動態
Orbon Alija/gettyimages

国連の推計によると、世界人口は2050年には100億人弱になると予想されている。そのとき、世界で最も人口が多くなるのはインドで、16億人を超える。14億人の中国がそれに続き、約4億人のアメリカが3位、4億人弱のナイジェリアが4位になる。

人口動態には3つの大きな流れがある。1つは、先進世界全体の高齢化だ。このとき参考になるのが日本である。日本では、2045年には労働力の4分の1が75歳以上になるほど少子高齢化が進行している。だが、いままでのところ秩序は保たれており、清潔かつ犯罪も少ない。高齢化が進むと、イノベーションは生まれにくくなり、生活水準も下がってくる。ただし、若い人たちがその事実を受け入れられれば、高齢化社会でも円滑に回るはずだ。

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要約公開日 2024.01.30
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