夜空を見上げると、目に飛び込んでくる数えきれないほどの星。この地球上から肉眼で見ることができる星の数は約3000個もあると言われている。大きく明るく輝く星もあれば、小さくかすかに瞬く星もある。
星によって明るさが違うのはなぜだろう。星の明るさは、見かけの明るさであり、星本来の明るさを表している。遠くにある星は暗く見え、近くにあれば明るく見えるのだ。
また、星の色もさまざまだ。その色は星の表面の温度に対応している。温度が高ければ青く見え、低ければ赤く見えるのだ。
すべての星がこのように自身のエネルギーで輝いているわけではないことも述べておこう。たとえば、夕方や明け方の空にひときわ明るく輝く宵の明星や明けの明星は金星のことだが、金星自身が輝いているわけではなく、太陽光を反射しているのだ。明るく見えるのは、普通の星に比べて圧倒的に地球の近くにあるからだ。
子供のころ、本書のタイトルにもある「一番星」探しゲームをしながら帰り道を歩いた読者もいるのではないだろうか。天文学者である著者がおこなっている一番星探しゲームはもっと壮大だ。それは『宇宙の一番星』を探すこと。この宇宙で誕生した最初の星を探すことだ。現在、宇宙の年齢は137億歳だと言われている。宇宙が誕生したその瞬間は、もちろん星や惑星といった天体など、なにもなかった。しかし、最初の星が生まれた瞬間が必ずあるはずなのだ。いつ、どこで生まれたのか。本書は、この宇宙の一番星を求め、今も探求の旅を続ける著者の物語だ。
星はどのようにして生まれるのか。それには星の正体を知る必要があるだろう。もっとも身近な星、太陽のことを考えてみよう。じつは、太陽はガスの塊にすぎない。太陽の成分は、質量にして70%が水素、28%がヘリウムだ。つまり、星をつくるには大量のガスの雲があればよいことになる。
星をつくるためにはまず、数光年から数十光年(1光年は光〔秒速30万キロメートル〕が1年間に進む距離のことを指し、9.46兆キロメートルに相当する)もある巨大な、冷たい分子ガス雲が必要だ。この分子雲には、ところどころに分子の密度が高いところが存在する。そこには、周りに比べて重力が強くかかるために、周りのガスを巻き込み、より質量が増えていく。質量の増加にともない、分子ガス雲は回転をしながら円盤をつくり、収縮していく。すると、中心部はさらに収縮し、温度と圧力が上がりやがて「熱核融合」が発生する。そして、そのときのエネルギーによって輝き始める。これが星の誕生だ。このように、太陽や、そして地球などの惑星もまた、はじめは分子ガス雲の中で生まれたのだ。
夜空に浮かぶ星、ひとつひとつにそれぞれの誕生ドラマがある。その星々が集まってひとつの流れる川のように夏空に見えるのが、天の川だ。
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