リスクマネジメント

変化をとらえよ
未読
リスクマネジメント
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リスクマネジメント
ジャンル
出版社
出版日
2022年12月12日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「リスク」はネガティブな言葉として捉えられることが多い。企業活動においてはなおさらだ。しかし、変化の激しい現代において、完全にリスクを回避するのは不可能に近い。そもそもリスクをできる限り避けようとする姿勢は停滞を招く。それは企業や社会だけでなく個人においても同じだ。必要なのは、確実に避けるべきリスクを見分けながら、ときには積極的にリスクを取りにいく姿勢である。

そのためには、リスクに対する解像度を高め、取るべきリスクと避けるべきリスクを峻別しなければならない。本書を読むべき理由もここにある。読み進めることで、リスクという漠然としたものが、より実態をもって浮かび上がってくるだろう。「リスクの解像度」が上がるのだ。

こうしたプロセスを組織的に取り組むことの重要性を強調しているのも、本書の特徴のひとつである。リスクを正しく把握し、意思決定するメカニズムを整えるためには、組織編成の段階から取り組む必要がある。さらには、従業員のマインドセットを変化させていくことも求められる。それらは決して簡単ではない。だが、不確実性が偏在する現代において、企業が成長するためには避けては通れない道である。

リスクマネジメントを理解することは、ビジネスそのものを構造的かつ俯瞰的に捉えることにほかならない。ビジネスパーソンであれば本書を一読して損はない。とりわけ大企業に所属している方、重大な意思決定を担う方におすすめしたい。

著者

デロイト トーマツ リスクアドバイザリー (Deloitte Tohmatsu Risk Advisory)
デロイト トーマツ リスクアドバイザリーは、5つのサービス(ビジネス)領域(監査・保証業務、コンサルティング、ファイナンシャル アドバイザリー、税務・法務)により構成されているデロイト トーマツ グループの中核事業の1つ。リスクアドバイザリーは、クライアントが適切にリスクテイクし、的確に経営上の課題に対応するためのサービスを幅広く提供することで、クライアントの持続的な成長に貢献することを使命としている。コーポレート・ガバナンス、財務、経理、レギュレーション、内部監査、事業リスクマネジメント、アナリティクス、デジタル、サイバーセキュリティなどの各領域におけるリスクや課題に応えることができるプロフェッショナル集団

本書の要点

  • 要点
    1
    リスクマネジメントは企業全体で取り組むべきだ。リスクには「戦略リスク」「事業リスク」「インフラリスク」がある。
  • 要点
    2
    無数にあるリスクに同じように対処しようとすると、経営が萎縮しかねない。気をつけるべきリスクと、受け入れるべきリスクを判別しなければならない。
  • 要点
    3
    自社だけでなく、サプライチェーン全体を俯瞰してリスクを考えることが必要だ。
  • 要点
    4
    サイバーセキュリティというと、インターネット上のものが想起されやすいが、実際は物理や人を介して問題が発生することも少なくない。

要約

リスクマネジメントは経営そのもの

リスクにはマネジメントが必要だ

リスクにはポジティブな要素もネガティブな要素もあるが、どちらにおいてもマネジメントは欠かせない。というのも、ポジティブな出来事が起きたとしても、最終的な影響がポジティブとは限らないからだ。

たとえば、想定外の需要が発生して売上が目標を上回ったとしても、増加する需要に供給が追いつかなければ、顧客の不満や信用の毀損につながる危険性がある。また、需要増に対応しようと無理な拡大投資をして、将来の財務負担を高めてしまうかもしれない。リスクマネジメントでは、こうした事業への影響をできるだけ想定内に収めるべきである。

もちろん、予測困難な時代において想定外を完全になくすことは困難だ。そのため、想定できるリスクにしっかり対処したうえで、不確実性を積極的に活用する姿勢が大切になる。うまく危機に対処できれば、それ以上の機会やリターンにつながるかもしれない。

管理すべきリスクは役職によって違う
Michail_Petrov-96/gettyimages

リスクマネジメントは企業全体で取り組むべきだ。だが、組織の階層によって管理するべきリスクは異なってくる。

経営層が積極的に関与するべきなのは「戦略リスク」だ。戦略リスクとは、「企業全体の経営戦略上の不確実性」を指す。中長期的な視点を持って統合的に管理しつつ、戦略目標の達成が阻害されるリスクに対処しなければならない。

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要約公開日 2024.04.13
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