リスクにはポジティブな要素もネガティブな要素もあるが、どちらにおいてもマネジメントは欠かせない。というのも、ポジティブな出来事が起きたとしても、最終的な影響がポジティブとは限らないからだ。
たとえば、想定外の需要が発生して売上が目標を上回ったとしても、増加する需要に供給が追いつかなければ、顧客の不満や信用の毀損につながる危険性がある。また、需要増に対応しようと無理な拡大投資をして、将来の財務負担を高めてしまうかもしれない。リスクマネジメントでは、こうした事業への影響をできるだけ想定内に収めるべきである。
もちろん、予測困難な時代において想定外を完全になくすことは困難だ。そのため、想定できるリスクにしっかり対処したうえで、不確実性を積極的に活用する姿勢が大切になる。うまく危機に対処できれば、それ以上の機会やリターンにつながるかもしれない。
リスクマネジメントは企業全体で取り組むべきだ。だが、組織の階層によって管理するべきリスクは異なってくる。
経営層が積極的に関与するべきなのは「戦略リスク」だ。戦略リスクとは、「企業全体の経営戦略上の不確実性」を指す。中長期的な視点を持って統合的に管理しつつ、戦略目標の達成が阻害されるリスクに対処しなければならない。
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