わたしたちが課題を先延ばしにしてしまう理由は全部で13ある。要約ではそのうち3つを紹介したい。
1つ目は「どこからどうやって取りかかればいいかわからない」だ。
あなたもきっと、次のような経験をしたことがあるだろう。
ToDoリストにたくさんの項目があるものの、手を着けられず、時間が刻々と過ぎていく。
どこからどうやって取りかかればいいかわからないまま仕事を先延ばしして、急ぎではないメールチェックをしている。だって、目の前にある大量の課題に着手するより、メールチェックのほうが簡単なのだから――。
どうやって取りかかればいいかわからない課題があるとき、私たちは別のものに気を取られ、課題への着手を先延ばしにする。目の前の課題とは違い、メールチェックやフェイスブックの閲覧、ニュースの見出しの流し読み、ゲーム、ユーチューブの動画視聴などなら、すぐに満足感が得られるからだ。
「どこからどうやって取りかかればいいかわからない」の解決法は、ひとつの課題を選んで、とにかく取りかかることだ。着手さえすれば、勢いがついて次の課題にも取り組めて、どんどん課題が片づいていく。
2つ目は「優柔不断」だ。
どんな行動をとるにしても、自分の目標や境遇に最も合致した選択肢を選べるよう、何かしらの判断をする必要があるものだ。
だが、ここで考えすぎて優柔不断になってしまう人がいる。よくないほうの選択肢を選んだり、選択を誤って不完全な仕事をしてしまったり、選択を誤って悪い結果になったりすることを恐れているからだろう。
優柔不断を解決する方法は「とにかく行動を起こす」と誓うことだ。「たとえ劣った選択肢を選ぶことになったとしても、とにかく行動を起こす」とルール化しよう。これなら、よりよい決定をくだすためにあれこれ迷うあまり、行動を先延ばしにすることがなくなる。
たいていの場合、劣った選択肢を選んだとしても、ひどい結果にはならないものだ。一方、恐怖と不安のために決断を遅らせることの代償はかなり大きい。まずはこのことを認識してほしい。
それでも不安なら、「間違った選択肢を選んだときに起こりうる最悪の事態は何か?」と自分に問いかけてみると、「最悪の事態」もさほど悪いものではないことに気づけるだろう。
3つ目は「短期的欲求の充足を優先させてしまう」だ。
できるだけ早く欲求を満たしたい(=短期的欲求を充足させたい)と願うのは人間の性(さが)だ。だが、短期的欲求の充足を選ぶことは、時に将来の目標の実現を遠ざけることになる。
たとえば、美しいスタイルを手に入れるために不健康な食生活を控える決意をしたのに、おいしそうなドーナツを食べたいという誘惑に駆られたとしよう。この誘惑に屈すれば、すぐに「おいしいものを食べて幸せな気分になる」という欲求を満たせる一方、美しいスタイルを手に入れるという将来の目標は遠ざかる。
「短期的欲求の充足を優先させてしまう」の解決法は、短期的欲求の充足を遅らせることだ。具体的には、4つのテクニックがある。
1つ目は、先延ばしの結末について考えてみることだ。「先延ばしによって締め切りに間に合わなくなるかもしれない」と気づけば、先延ばしをせずに済む可能性がある。
2つ目は、短期的欲求を満たそうとする衝動を徐々にコントロールすることだ。SNSが気になるあまり課題を先延ばしにしがちなら、指定したサイトへのアクセスをブロックするサービスを使い、SNSにアクセスしない時間を徐々に伸ばしていく。
3つ目は、衝動の元を断つことだ。SNSのアプリをスマートフォンから排除してしまえばいい。
4つ目は、報酬制度をつくることだ。短期的欲求の充足を遅らせることに成功したら、自分に褒美を与える。
本書で紹介される「先延ばし癖を改善する21のテクニック」のうち、要約では6つを取り上げる。
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