改訂版 勝つ投資 負けない投資

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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2024年01月11日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

2024年1月から新NISA制度が始まった。また、日経平均株価は1989年につけたバブル期の最高値を更新し、日本は新たな局面に入ったとする声もある。このような時代背景において、投資に対するリテラシーは高いほどいい。たしかに、近年のオンライン証券の普及や、SNSでのインフルエンサーによる情報拡散により、一昔前に比べると人々の金融リテラシーは高まった。

だが、断片的な情報に振り回され、あるいは米国株一択といった偏った投資スタイルに疑問を持つ方もいるのではないだろうか。本書は、投資の本質を学びたい、情報に左右されない投資スタイルを確立したい、といった望みを持つ方にうってつけの内容である。

本書は65万円だった元手を150億円まで増やした凄腕個人投資家である片山晃氏と、通算5000社以上の会社への取材経験と「不敗の投資家」の異名を持つ機関投資家、小松原周氏の2名がそれぞれの立場から投資について語った贅沢な内容だ。具体的な銘柄選定の手法や、投資におけるマインドセットまで幅広く投資に関する知識を学ぶことができる。初版は2015年だが、「流行り廃りに左右されない、普遍的な中身にする」というコンセプトのもと執筆されており、改訂版ではさらにそれが進化している。今後も長く活用していけるはずだ。

チャンスは平等にはやってこない。投資に関する意識が高まり、相場がひっきりなしに転換する現代で、機会を逃さず積極的に資産を増やしたいと考える人にとって、心強い伴走者になってくれる一冊だ。

著者

片山晃(かたやま あきら) ペンネーム:五月(ごがつ)
株式会社レッドマジック代表取締役社長。
専門学校中退後の4年間をネットゲーム廃人として過ごした後、22歳で株式投資に出合い、2005年5月からの7年半で65万円の投資額を12億円まで増やした。2013年に運用会社レオス・キャピタルワークスに入社、1年間の機関投資家業務を経験し再独立。現在の総資産は150億円で、企業買収やヘッジファンドの設立、累計50件以上のスタートアップ投資など活動の幅を広げている。北海道に競走馬の生産牧場を持つ馬主としても知られる。

小松原周(こまつばら あまね)
大手資産運用会社にてファンドマネージャー・アナリストを務める。徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行うファンダメンタリストであり、長いキャリアの中で大きく負けたことがないため「不敗の投資家」として知られる。これまでに日米通算で5000社以上の会社へ取材した経験を持つ。さまざまな業種業界に精通しており、経営戦略からコーポレートファイナンス、経済学、財務分析等の知識が豊富であることから、上場企業の経営者の間でも氏との面談は評価が高い。巨大ファンドを運用する現役のファンドマネージャーであり、株式市場への影響力が大きいため、氏名以外の個人情報は基本的に非公開としている。

本書の要点

  • 要点
    1
    片山氏が勝てる投資において重要だとするポイントは「変化」を見極める力と、変化から未来を仮定する「想像力」の2つだ。世の中の動向に注意を払い、常に想像力を働かせよう。
  • 要点
    2
    小松原氏が投資において最も重視するのが「自分の投資スタイルを変えないこと」だ。自らの目で見定めた企業の競争力を信じ、外圧に負けない忍耐力を持とう。
  • 要点
    3
    一昔前に比べ、投資行動は一般的になった。それでも、「未来を考え通す力」と「その未来を信じ切る力」という投資の原理原則は変わっていない。

要約

勝つ投資〈個人投資家:片山晃〉

デイトレーダーとしての限界

「ネトゲ廃人」から一転、株式市場という世界最大にして最高水準のオンラインゲームに出合った片山だが、最初は何もわからないままデイトレードに手をつけた。当時はライブドアショックが起こる1年前で市場の「パイが広がっている時期」であった。2006年末には専業投資家になり、200万の資産を1年足らずで1000万円以上に膨らませたことで、自分にもトレードの才能があると思い込んだ。

だがそこから思うように資産を増やせない。そんなときに参加したオフ会で他の投資家との力量差を知った片山は、「デイトレーダーとしては一流になれない」ことを痛感した。そんな折にリーマンショックが起こる。日経平均は見る間に半分になり、真面目に働いていた人でさえ職を失った現実を目にして、「自分には株以外の道はないのだ」と覚悟を決めた。

どんな銘柄に投資するのか
tdub303/gettyimages

リーマンショック後に片山が始めたのが、企業の純資産に注目し、比較的安全といわれる「バリュー投資」だ。当時の日本市場ではPBR(株価純資産倍率)が0.2倍や0.3倍といった異例に低水準の銘柄であふれていた。それらに分散投資してみると、2~3倍程度の大きなリターンにつながったものもあれば、大して値上がりせずに終了したものもあった。その違いは「業績回復スピードの差」からきていた。

この時の経験から片山は、次第に「EPS(1株あたり利益)」に着目するようになっていった。変化の少ない安定した業績を出していることではなく、将来どう変わるのかが大事なのだ。

投資で最も大事なのは「変化」と「想像力」

成長株の「変化」は、決算短信に出る業績数値によく表れる。ただし、大事なのは変化の中身をしっかりと把握することだ。単に円安などの外部要因によって売上が伸びたのなら企業固有の現象とは言えない。好調な新商品によるのであれば、今後のインパクトも考慮できる。

そうした変化の端緒に対して、数年後の未来から現在を振り返ってみたとき、今の状況がどう見えるかを想像してみる。それは、iPhoneが市場に登場したとき、その勢いの継続性を算段してみた種類の「想像力」だ。

地震の後に災害グッズやマンションの耐震性が注目されるように、世の中の出来事はある特定のパターンに当てはまるものである。したがって、ヒット商品やブームなどが想像力を養う源泉になる。見過ごさずに、そこから何らかのサインを受け取ろうとする姿勢が大事なのだ。

利益を得るための3パターン

投資で利益を得るパターンは3つある。

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要約公開日 2024.05.25
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