「ネトゲ廃人」から一転、株式市場という世界最大にして最高水準のオンラインゲームに出合った片山だが、最初は何もわからないままデイトレードに手をつけた。当時はライブドアショックが起こる1年前で市場の「パイが広がっている時期」であった。2006年末には専業投資家になり、200万の資産を1年足らずで1000万円以上に膨らませたことで、自分にもトレードの才能があると思い込んだ。
だがそこから思うように資産を増やせない。そんなときに参加したオフ会で他の投資家との力量差を知った片山は、「デイトレーダーとしては一流になれない」ことを痛感した。そんな折にリーマンショックが起こる。日経平均は見る間に半分になり、真面目に働いていた人でさえ職を失った現実を目にして、「自分には株以外の道はないのだ」と覚悟を決めた。
リーマンショック後に片山が始めたのが、企業の純資産に注目し、比較的安全といわれる「バリュー投資」だ。当時の日本市場ではPBR(株価純資産倍率)が0.2倍や0.3倍といった異例に低水準の銘柄であふれていた。それらに分散投資してみると、2~3倍程度の大きなリターンにつながったものもあれば、大して値上がりせずに終了したものもあった。その違いは「業績回復スピードの差」からきていた。
この時の経験から片山は、次第に「EPS(1株あたり利益)」に着目するようになっていった。変化の少ない安定した業績を出していることではなく、将来どう変わるのかが大事なのだ。
成長株の「変化」は、決算短信に出る業績数値によく表れる。ただし、大事なのは変化の中身をしっかりと把握することだ。単に円安などの外部要因によって売上が伸びたのなら企業固有の現象とは言えない。好調な新商品によるのであれば、今後のインパクトも考慮できる。
そうした変化の端緒に対して、数年後の未来から現在を振り返ってみたとき、今の状況がどう見えるかを想像してみる。それは、iPhoneが市場に登場したとき、その勢いの継続性を算段してみた種類の「想像力」だ。
地震の後に災害グッズやマンションの耐震性が注目されるように、世の中の出来事はある特定のパターンに当てはまるものである。したがって、ヒット商品やブームなどが想像力を養う源泉になる。見過ごさずに、そこから何らかのサインを受け取ろうとする姿勢が大事なのだ。
投資で利益を得るパターンは3つある。
3,400冊以上の要約が楽しめる