「日経平均10万円」時代が来る!

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「日経平均10万円」時代が来る!
出版社
日本経済新聞出版

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出版日
2024年01月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

2024年2月、日経平均株価が史上最高値を更新した。今後も株価の上昇は続くのか。投資をしている人は注目していることだろう。

一方で「投資は怖い」「リスクがあるからやりたくない」という人も少なくない。そういったイメージを持っている人たちにこそ、本書を読んでいただきたい。

著者は投資信託「ひふみ」シリーズの最高責任者で、ファンドマネージャーとして33年のキャリアを持つ藤野英人氏だ。著者は大胆にも「10年後には日経平均が10万円になる」と予測を立てる。荒唐無稽にも聞こえるが、本書を読むとそれは十分起こりうる未来だと納得できる。

その理由の1つが、日本がインフレ経済に突入したことだ。インフレ下では物価が上がり、株式や不動産も値上がりする。逆に現金の価値が下がるため、「資産は現預金だけ」という人は大きなダメージを受けるだろう。「投資は危険」という考えは、これからの時代はむしろリスクになるのである。

本書では、「日経平均10万円」時代に向けて今どう動くべきかを解説する。小手先のノウハウや商品紹介というより、「どんな観点で投資先を選ぶべきか」という本質的な部分にページを割く。投資とは本来「企業を応援すること」であり、目指す未来をつくる企業に投資をし、そのリターンとしてお金を受け取ることである。儲けることばかりが話題になるが、投資本来の意義も知っておくべきではないだろうか。激変する時代の「転ばぬ先の杖」として、本書の一読を勧めたい。

ライター画像
Keisuke Yasuda

著者

藤野英人(ふじの ひでと)
投資家・ひふみシリーズ最高投資責任者
レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長 CIO

1966年富山県生まれ。1990年早稲田大学法学部卒業、野村投資顧問(現:野村アセットマネジメント)入社。1996年よりジャーディン フレミング投信・投資顧問(現:JPモルガン・アセット・マネジメント)、2000年よりゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントにてファンドマネジャーを歴任。特に中小型株および成長株の運用経験が長い。2003年独立し、レオス・キャピタルワークス株式会社を創業。投資教育にも注力しており、東京理科大学上席特任教授、叡啓大学客員教授、淑徳大学地域創生学部客員教授も務める。著書に『ゲコノミクス』『おいしいニッポン』(以上、日本経済新聞出版)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること 』(星海社新書)、『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『プロ投資家の 先の先を読む思考法』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    堅調に推移する日本株市場の背景には、日本企業の本質的な変化がある。
  • 要点
    2
    10年後は「日経平均株価10万円」も夢じゃない。ただしその実現には、インフレの進展、大企業の変化、新興企業の台頭が必要だ。
  • 要点
    3
    投資のリターンはお金だけではない。真面目な会社に投資をすることで、世の中がよくなり「明るい未来」というリターンを受け取れる。
  • 要点
    4
    生成AIの普及によって、個人投資家が短期投資で勝つことは難しくなる。

要約

海外投資家が日本株に注目する理由

日本株市場を変えた「新・3本の矢」
manassanant pamai/gettyimages

2023年、日本の株式市場は堅調に推移した。11月にはバブル崩壊後の最高値を更新し、終値は3万3817円をつけた。きっかけは著名投資家ウォーレン・バフェット氏が来日し、日本を代表する商社株群を買い増すと発表したことだ。

この動きは一時的なものではない。著者は、今の日本株市場の動きの背景には、日本企業の本質的な変化があると考えている。日本株市場は今後も上下しながら、長期的に見れば右肩上がりに上昇し続けるだろう。

日本企業が変わり始めたのは、2014年にさかのぼる。同年、金融庁が「スチュワードシップ・コード」、経済産業省が「伊藤レポート」、そして2015年には東京証券取引所が「コーポレートガバナンス・コード」を発表した。著者は当時、これら3つを「新・3本の矢」と呼び、上場企業と株式市場に対する本格的な改革促進であると考えた。

「伊藤レポート」の提言で特に重要だったのは「ROE(自己資本利益率)の目標水準8%」を宣言したことだ。ROEは「会社が株主から預かった資本からどれだけ効率よく純利益を生み出しているか」を表す指標で、「純利益÷自己資本」で計算できる。世界の投資家の間では、資本コスト(資本に対するリターン)の目安は平均7%であり、それを上回る8%に設定すれば投資家たちの納得が得られると考えたのだ。

金融庁の「スチュワードシップ・コード」では、機関投資家に対して投資先企業の経営のモニタリングを、東証の「コーポレートガバナンス・コード」では、上場企業に対して収益力や資本効率の目標提示などを求めている。経済産業省、金融庁、東証の三者による取り組みが、後の株価上昇の基盤をつくったのだ。

成長企業は純粋さを持っている

著者はよく海外の投資家に「日本の経営者は眠くて退屈」と言われたという。大企業トップに成長の気概のある人は見当たらず、いつもゴルフや健康の話ばかりしている。著者が運用する投資信託「ひふみ」が中小型株や成長株に傾斜していたのも、大企業の中に「投資したい」と思える会社がなかったからだ。

しかし、時代は変化した。経営にフォーカスする覚悟があり、成長志向を持つトップが増えてきたのだ。長期的な株価上昇が期待できる会社群が発生しつつあるのである。

その中の1つが味の素だ。著者は味の素の経営者と面談した際、深く感銘を受けた。味の素は「アミノサイエンスで人・社会・地球のWell-beingに貢献する」を掲げ、経営の改善と企業価値向上に取り組んでいる。著者は味の素に「本質的な真面目さ」「純粋さ」を感じたという。研究者である副社長はアミノ酸について熱弁をふるい、そこに割って入った社長も情熱的にアミノ酸について語り始めた。彼らはアミノ酸を心から愛し、アミノ酸の力を心から信じて邁進しているのである。

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要約公開日 2024.06.22
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