著者が推奨する「インデックス投資」とは、「世界中に分散したインデックスファンドを積み立て投資して長期的に保有すること」を指す。インデックス投資をおすすめできるのは、「手間がかからない」「世界標準のスタンダードな投資法」「お金の基礎知識として日常生活に役立つ」という3つのポイントからだ。
銘柄や投資タイミングを考えることなく、基本的に毎月同じ金額を積み立てて寝かせるだけである。それに、世界中の「金融のプロ」が採用している手法であり、国際的なスタンダードとされる。そして、企業に導入されている確定拠出年金はインデックス投資に考え方が近く、金融詐欺に対抗するための基礎的な知識としても有効となる。
インデックス投資の対象であるインデックスファンドは「投資信託」という金融商品の一種だ。投資信託とは、投資家から集めた資金をまとめて専門家が投資・運用する金融商品であり、運用先である株式や債券の価格変動によって投資信託の値段(基準価額)が変わる。基準価額が値下がりしても運用会社は損をせず、投資家だけがリスクを負う一方で、「利益はほぼすべて投資家のもの」だ。それに、「少額から購入できる」「たくさんの銘柄の株式や債券に分散投資できる」「運用に携わる金融機関が破たんしても資金が守られている」という3つのメリットがある。
投資信託は100円から始められるケースもあり、ハードルが低い。それに、分散投資はリスクを下げつつ、個人ではまず投資できない国や地域を含め、大規模な投資を実現する。
そして、販売会社、運用会社、信託銀行のどれが破たんしても、法律によって信託財産が守られる。逆に言えば、投資信託でないファンドの儲け話には乗らないほうが懸命だ。
インデックスファンドには積み立て投資がよい。「毎月、一定金額で同一の投資信託を購入する」(ドルコスト平均法)といった方法だ。株価が低いときには大量に、高いときには少ない量を買うことになり、結果として購入価格を平準化できる。
これは「買い持ち(バイ&ホールド)」なので、「寝かせて増やす」ことになる。投信自動積み立てサービスを利用すれば、毎月の買い注文をする必要もない。もちろん、相場の動向によっては投資すべきでない時期に買い続けてしまうこともあるが、そもそも市場を予測して購入するのはプロでも難しい。資産運用は売買ではなく保有こそがスタンダードなのである。
インデックス投資を始める前に、1カ月の生活費を把握しよう。たとえば、給料が入ってから1カ月後にいくら残っているか、3カ月間ほど見るくらいでも十分だ。その時点で赤字なら投資している場合ではない。
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