カナダ人はいつも幸せそうだ。著者はカナダに移住して12年、常にそれを感じている。
彼らは自分自身が「何に幸せを感じるか」を理解している。趣味の釣りを楽しむ人、家族と過ごす時間を大切にする人、もちろんバリバリ働くのが好きな人もいる。彼らに共通しているのは、自分の中にブレない軸があることだ。そのため、何にお金を使うかもはっきりしている。
カナダでは多様な金融教育が展開されている。中学・高校では金融の授業で「複利」について学び、幼稚園でも投資や起業の話が出ることは珍しくない。幼少期から親に金融について教えてもらっている人もいるし、大人に対する投資を促進する取り組みも充実している。カナダではゆりかごから墓場まで、お金に対する教育が当たり前に行われているのである。
カナダ人が実践する幸せな生き方は、科学的にも理にかなっている。
精神科医の樺沢紫苑氏によると、人は幸せを感じている時、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンという3つの脳内物質が分泌されるという。セロトニンは心身がリラックスしている時、オキシトシンは人とのつながりや愛情を感じている時、そしてドーパミンはお金や成功などを達成しようとしている時に分泌される。
カナダ人はこの「幸せの物質」をバランスよく生み出している。健康に気をつかい、仕事よりも家族や友人との時間を大切にし、心おきなく時間を使えるように投資をしている。あくまでセロトニンやオキシトシン的な幸福を中心に置いて、お金にも困らない人生を送っているのである。
一方、日本人は小さな頃からドーパミン的幸せを求める人生が良いと教わっている。良い学校に入って、大きな会社で働き出世をする。そのために自身の健康や家族を後回しにしている人も少なくない。
カナダ人がいつもニコニコしているのは、追い求めるべき「幸せの順番」を守っているからだ。まず心と体の健康、そして人とのつながりを固めて、そのうえで成功やお金を求めているのである。
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