先読み!サイバーセキュリティ

生成AI時代の新たなビジネスリスク
未読
先読み!サイバーセキュリティ
先読み!サイバーセキュリティ
生成AI時代の新たなビジネスリスク
未読
先読み!サイバーセキュリティ
出版社
インプレス

出版社ページへ

出版日
2024年04月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

近年、名だたる組織・企業のサイバー被害が立て続けに報じられている。それらのニュースを他人事だと思っている人に、本書を読んでもらいたい。

本書によると、AIはサイバー攻撃の手法をより効率的に、より複雑にしたため、本来であれば「割に合わない」はずの中小企業でさえ、サイバー攻撃の対象になる恐れがあるという。もはやインターネットを使う者ならばサイバー攻撃への対策は必要不可欠と言って差し支えないはずだ。

とはいえ「サイバーセキュリティ対策を講じよう」と思い立っても、何をすればいいかわからない人が大半だろう。本書はそうした人にとって優秀な入門書となってくれる。サイバーセキュリティの世界でいま何が起きているのかをわかりやすく解説したうえで、何ができるか、何をすべきかを丁寧に教えてくれる。またそこからもっと専門的な知識がほしい人にとっても、有用なガイドとなる内容だ。

サイバーセキュリティに関する基礎的な知識、そして現状把握、それを足掛かりにした専門的な知識への誘導と、本書には三拍子が完璧に揃っている。一般常識レベルのサイバーセキュリティ知識を押さえたい人から、社員にわかりやすくサイバーセキュリティ対策の重要性を伝えたい社内IT担当者まで、幅広くさまざまな読者のニーズに応えてくれる一冊である。

著者

岩佐晃也(いわさ こうや)
Cloudbase株式会社 代表取締役
10歳からプログラミングを始め、特にセキュリティ領域に関心を持つ。学生時代から様々なサービスを開発し、京都大学工学部情報学科在籍時にLevetty株式会社(現: Cloudbase株式会社)を創業。2年間で6回のピボットを経て、クラウドセキュリティ領域に至り、Cloudbase事業を始める。現在ではスズキをはじめとした大企業へのサービス導入を進めており、累計13.9億円の資金調達が完了している。2023年、Forbes 30 Under 30 Asia、Forbes 30 Under 30 Japanに選出。
X(Twitter)@iwasakoya

酒井麻里子(さかい まりこ)
ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。運営するWebマガジン『TechComm-R』(https://vr-comm.jp/)では、XR・メタバースの、ビジネス・教育・福祉・地方創生などの領域での話題を発信している。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座 ChatGPT 対話型AIが生み出す未来』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース エキスパート コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。
X(Twitter)@sakaicat/Threads @sakaimariko24

本書の要点

  • 要点
    1
    サイバーセキュリティの三要素は「機密性」「完全性」「可用性」だ。
  • 要点
    2
    サイバー攻撃の手法のうち、最も一般的なのは、外部からコンピューターに侵入して問題を引き起こす「マルウェア」だ。また近年では、データを利用できない状態にして「身代金」を要求する「ランサムウェア」の被害が増えている。
  • 要点
    3
    業務用PCやスマホをフリーWi-Fiにつなぐのは危険だ。入力した情報が盗まれる恐れがある。自分で用意したモバイルWi-Fiルーターを使ったり、スマホからテザリングで接続したりしよう。

要約

AIはサイバー攻撃をどう変えたのか

サイバーセキュリティの必要性が高まる理由

近年、サイバーセキュリティの必要性はますます高まっている。その要因は大きく分けて3つある。

1つ目は、AIの急速な進化だ。私たちが生成AIを活用して業務効率化を図るのと同様、サイバー攻撃をする人たちもAIを使って攻撃を効率化できるようになっている。

2つ目は、リモートワーク化だ。コロナ禍のリモートワーク化でクラウドの導入が進んだことで、情報漏えいのリスクが高まっている。

3つ目は、世界情勢の変化だ。2023年には、親ロシア派のサイバー攻撃集団が「日本国政府全体に宣戦布告」するという内容の動画をSNSに投稿し、日本の行政ポータルサイトがアクセスしづらくなる事案があった。

サイバーセキュリティって何?
lovenimo/gettyimages

そもそもサイバーセキュリティとは、データの改ざんや漏えいを防ぐための技術や対策のことだ。自宅の防犯対策のサイバー空間バージョンを想像するとわかりやすいだろう。

サイバーセキュリティの三要素は「機密性」「完全性」「可用性」だ。それぞれ説明しよう。

機密性は、情報を守るための対策をしっかり行うことを意味する。簡単には推測できないパスワードを設定する、部外者が情報にアクセスできないようにするといった対策のことだ。

完全性は、情報の改ざんを防ぐことだ。具体的には、データのアクセス権限を適切にコントロールすることや、アクセスログをきちんと残しておくことが有効である。

可用性は、システムが停止することなく、必要なときにアクセスできることを意味する。自社内に置いたサーバーだけに頼っていると、自然災害でサーバーが被災すればサービスは停止してしまう。サーバーを東京と大阪に置くなど、場所を分散させることで可用性を維持できる。

【必読ポイント!】 サイバー攻撃の具体的な手法

サイバー攻撃の「定番」手法

サイバー攻撃には「定番」ともいえる手法が存在する。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2515/3316文字

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2024.07.24
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方 【改訂第3版】
良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方 【改訂第3版】
雨宮美季片岡玄一橋詰卓司
未読
宇宙ベンチャーの時代
宇宙ベンチャーの時代
小松伸多佳後藤大亮
未読
エレガントパズル
エレガントパズル
ウィル・ラーソン岩瀬義昌(訳)
未読
デジタル・デモクラシー
デジタル・デモクラシー
内田聖子
未読
ひとり法務
ひとり法務
飯田裕子
未読
自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと 文庫版
自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと 文庫版
四角大輔
未読
超進化経営
超進化経営
名和高司
未読
シン・スタンダード
シン・スタンダード
谷口たかひさ
未読