うまくやれている組織には熱量がある。その一方で、そうではない組織は摩擦や不満、政治にまみれている。
その理由を理解しようとする試みが「組織デザイン」だ。そこには、「優れた組織は、単純なプロセスを一貫して適用し続けることで、成長できる」という考えがある。
組織デザインの基本は、チームのサイズを決めることだ。まず、1人のマネジャーがサポートするエンジニアは6〜8人に限定しよう。4人に満たないような小さいチームは、個人で動く場合と変わらず、しかもこわれやすい。1人いなくなるだけで、チームに大きな負の影響をもたらしてしまう。
逆に、そのチームが8人を超えてきたら、4人または5人で構成される2つのチームに分割するべきである。1人のマネジャーが9人以上をサポートする状態を、決してそのままにしてはならない。
もちろん、これは絶対的な原則ではなく、例外も存在する。とはいえ、基本的にはこのフレームワークを守るほうが、メリットは大きいと言える。
チームの状態は、「遅延」「現状維持」「負債返済中」「革新」の4つのどれかに該当する。
「遅延」状態にあるチームは、ハードワークをしているのに望む成果に結びついておらず、士気が低い。「現状維持」チームは、技術的負債の解消に取り組めていないか、新規プロジェクトに取りかかれていない。「負債返済中」のチームは、技術的負債を返済することで、さらに時間が生まれている状態にある。最後に「革新」状態のチームは、技術的負債が少なく、メンバーの士気は高い。
理想としては、「遅延」から「革新」まで登りつめていくことだが、チームを放置していると、そのまま「遅延」に向かってしまう。そうならないためにはチーム状態に合わせて、異なる対策が求められる。
まず、チームが遅延しているときは、新たなメンバーを採用することだ。そのうえでユーザーのニーズを特定し、取り組みやすい目標を設定し、チーム内にポジティブな雰囲気をつくるべきである。社内の既存リソースを活用するのはおすすめできない。
次に、チームが現状維持のときは、より多くのことを達成できるようにチームの力を結集させるとともに、技術的負債を返済しはじめられるまで現在の仕事を減らすべきだ。
チームが負債返済中のときは、ゆとりを設けることで、システムを改善させよう。同時に、負債を返済しながらユーザーをサポートすることを心がけたほうがいい。技術的負債の返済のみだと、ユーザーからチームが見えなくなってしまう。
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