企業の寿命に着目すると、創業100年以上の日本企業は3万3076社で世界トップである。世界の100年企業全体のうち41.3%を占める。また、日本経済が「失われた30年」といわれる中でも、見事に成長し続けた一握りの成長企業が存在する。
著者は、PBR(株価純資産倍率)が2倍超えのトップ50社を抽出した(PBRが高く出やすいITサービス企業、30年未満の新興企業は対象外)。トップ10には、オリエンタルランド(1位)やサンリオ(2位)などのエンタメ企業、アドバンテスト(3位)や東京エレクトロン(8位)などの半導体関連企業、シスメックス(9位)などのヘルスケア企業が並ぶ。また、オリンパス(6位)やスノーピーク(10位)のように、近年の業態変革で大きく躍進した企業も名を連ねている。
特筆すべきは、トップ50社のうち18社(つまり3社中1社)が、資生堂(15位)や花王(39位)など、100年を超える長寿企業である点だ。日本企業が成長路線へと方向転換するためには、これらの企業から進化の法則を学ぶ必要がある。
著者は、企業の「超進化」ともいえる法則を5つの類型に分けた。
1つ目は、「頭足(オクト)」型といい、タコのように多角化した企業群である。多角化はかつて成長の定石といわれたが、流動性の高い昨今の資本市場においては、「コングロマリット・ディスカウント」の対象となりやすい。事業間にシナジーがなく、経営の勘所が異なる事業をむやみに抱え込むと、経営の管理スパンを大きく超えてしまうおそれがある。頭足型で進化し続けるためには、足の数を増やすだけでなく、減らす努力も必要となる。
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