超進化経営

勝ち続ける企業の5つの型
未読
超進化経営
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勝ち続ける企業の5つの型
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超進化経営
出版社
日本経済新聞出版

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出版日
2024年03月06日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「失われた30年」――そういわれて久しいが、そのような中でも、進化し続けている日本企業が存在する。それらの企業の「進化の法則」を解き明かすことが本書の狙いだ。

著者の名和高司氏は、マッキンゼーにて複数支社のヘッドを歴任し、一橋大学など複数の大学のビジネススクールで教鞭を取りながら、ファストリテイリング、味の素などの社外取締役を務めてきた人物である。アカデミックと実務の両面の知見をもとに、『パーパス経営』など数多くのベストセラーを世に出してきた。

著者は、「企業の寿命30年」といわれる中で、日本には100年超えの長寿企業が多く存在することに着目した。中でもPBR2倍超えとなる企業トップ50には共通する進化パターンがある。「勝ち続ける企業」の5つの型を、具体的な企業の事例とともに解き明かしていく。たとえば、島津製作所、ユニ・チャーム、味の素、ロート製薬、ニデック、ポーラなど、その進化の背景を探究するプロセス自体が大いに知的好奇心をかきたてられる。

経営者のみならず、あらゆる職種のビジネスパーソンや、これから社会に出る学生の方々に、ぜひ本書をおすすめしたい。自分たちの事業に活かせるヒントを学べるとともに、心に火がつけられることだろう。

ライター画像
鈴木えり

著者

名和高司(なわ たかし)
京都先端科学大学教授、一橋大学ビジネススクール客員教授
東京大学法学部、ハーバード・ビジネススクール卒業(ベーカースカラー授与)。三菱商事を経て、マッキンゼーで約20年間勤務。同社のディレクターとして、自動車・製造業プラクティスのアジア地区ヘッド、デジタル分野の日本支社ヘッドなどを歴任。2010年一橋大学ビジネススクール特任教授、現在、同客員教授。2021年京都先端科学大学ビジネススクール客員教授に就任、2022年4月より同教授。デンソー、ファストリテイリング、味の素、SOMPOホールディングスなどの社外取締役、朝日新聞社の社外監査役、ボストン・コンサルティング・グループ、アクセンチュア、インターブランドなどのシニアアドバイザーを歴任。『パーパス経営』『経営変革大全』『企業改革の教科書』『CSV経営戦略』『稲盛と永守』『資本主義の先を予言した 史上最高の経済学者 シュンペーター』『10X思考』『パーパス経営入門』など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本企業が次世代成長を遂げるためには、成長企業から進化の法則を学ぶ必要がある。「頭足(オクト)」型、「軸旋回(ピボット)」型、「異結合(クロス)」型、「脱構築(デコン)」型、「深耕(カルト)」型の5つがある。
  • 要点
    2
    企業の進化の5類型には、ズームアウトして遠い未来を描き、ズームインして現実と向き合うという「遠近複眼思考」や、「資産モデル」を組み替えて革新する発想といった共通する特徴がある。
  • 要点
    3
    伝統と革新は両義的な概念であり、伝統のなかにこそ革新の芽が潜んでいる。「守破離」をベースにして日本独自の「シン日本流」のイノベーションを目指すべきだ。

要約

進化経営とは

超進化企業トップ50社

企業の寿命に着目すると、創業100年以上の日本企業は3万3076社で世界トップである。世界の100年企業全体のうち41.3%を占める。また、日本経済が「失われた30年」といわれる中でも、見事に成長し続けた一握りの成長企業が存在する。

著者は、PBR(株価純資産倍率)が2倍超えのトップ50社を抽出した(PBRが高く出やすいITサービス企業、30年未満の新興企業は対象外)。トップ10には、オリエンタルランド(1位)やサンリオ(2位)などのエンタメ企業、アドバンテスト(3位)や東京エレクトロン(8位)などの半導体関連企業、シスメックス(9位)などのヘルスケア企業が並ぶ。また、オリンパス(6位)やスノーピーク(10位)のように、近年の業態変革で大きく躍進した企業も名を連ねている。

特筆すべきは、トップ50社のうち18社(つまり3社中1社)が、資生堂(15位)や花王(39位)など、100年を超える長寿企業である点だ。日本企業が成長路線へと方向転換するためには、これらの企業から進化の法則を学ぶ必要がある。

「頭足(オクト)」型 多角化の功罪と新陳代謝
Atomic62 Studio/gettyimages

著者は、企業の「超進化」ともいえる法則を5つの類型に分けた。

1つ目は、「頭足(オクト)」型といい、タコのように多角化した企業群である。多角化はかつて成長の定石といわれたが、流動性の高い昨今の資本市場においては、「コングロマリット・ディスカウント」の対象となりやすい。事業間にシナジーがなく、経営の勘所が異なる事業をむやみに抱え込むと、経営の管理スパンを大きく超えてしまうおそれがある。頭足型で進化し続けるためには、足の数を増やすだけでなく、減らす努力も必要となる。

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要約公開日 2024.07.26
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