超進化経営の表紙

超進化経営

勝ち続ける企業の5つの型


本書の要点

  • 日本企業が次世代成長を遂げるためには、成長企業から進化の法則を学ぶ必要がある。「頭足(オクト)」型、「軸旋回(ピボット)」型、「異結合(クロス)」型、「脱構築(デコン)」型、「深耕(カルト)」型の5つがある。

  • 企業の進化の5類型には、ズームアウトして遠い未来を描き、ズームインして現実と向き合うという「遠近複眼思考」や、「資産モデル」を組み替えて革新する発想といった共通する特徴がある。

  • 伝統と革新は両義的な概念であり、伝統のなかにこそ革新の芽が潜んでいる。「守破離」をベースにして日本独自の「シン日本流」のイノベーションを目指すべきだ。

1 / 3

進化経営とは

超進化企業トップ50社

企業の寿命に着目すると、創業100年以上の日本企業は3万3076社で世界トップである。世界の100年企業全体のうち41.3%を占める。また、日本経済が「失われた30年」といわれる中でも、見事に成長し続けた一握りの成長企業が存在する。著者は、PBR(株価純資産倍率)が2倍超えのトップ50社を抽出した(PBRが高く出やすいITサービス企業、30年未満の新興企業は対象外)。トップ10には、オリエンタルランド(1位)やサンリオ(2位)などのエンタメ企業、アドバンテスト(3位)や東京エレクトロン(8位)などの半導体関連企業、シスメックス(9位)などのヘルスケア企業が並ぶ。また、オリンパス(6位)やスノーピーク(10位)のように、近年の業態変革で大きく躍進した企業も名を連ねている。特筆すべきは、トップ50社のうち18社(つまり3社中1社)が、資生堂(15位)や花王(39位)など、100年を超える長寿企業である点だ。日本企業が成長路線へと方向転換するためには、これらの企業から進化の法則を学ぶ必要がある。

「頭足(オクト)」型 多角化の功罪と新陳代謝

Atomic62 Studio/gettyimages

著者は、企業の「超進化」ともいえる法則を5つの類型に分けた。1つ目は、「頭足(オクト)」型といい、タコのように多角化した企業群である。多角化はかつて成長の定石といわれたが、流動性の高い昨今の資本市場においては、「コングロマリット・ディスカウント」の対象となりやすい。事業間にシナジーがなく、経営の勘所が異なる事業をむやみに抱え込むと、経営の管理スパンを大きく超えてしまうおそれがある。頭足型で進化し続けるためには、足の数を増やすだけでなく、減らす努力も必要となる。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3360/4082文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2024.07.26
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

クリティカル・ビジネス・パラダイム
クリティカル・ビジネス・パラダイム
山口周
宇宙ベンチャーの時代
宇宙ベンチャーの時代
小松伸多佳後藤大亮
進化思考[増補改訂版]
進化思考[増補改訂版]
太刀川英輔
エレガントパズル
エレガントパズル
ウィル・ラーソン岩瀬義昌(訳)
良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方 【改訂第3版】
良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方 【改訂第3版】
雨宮美季片岡玄一橋詰卓司
ミンツバーグの組織論
ミンツバーグの組織論
池村千秋(訳)ヘンリー・ミンツバーグ
デジタル・デモクラシー
デジタル・デモクラシー
内田聖子
いかなる時代環境でも利益を出す仕組み
いかなる時代環境でも利益を出す仕組み
大山健太郎

同じカテゴリーの要約

【新】100円のコーラを1000円で売る方法
【新】100円のコーラを1000円で売る方法
永井孝尚
起業の天才!
起業の天才!
大西康之
経営者のための正しい多角化論
経営者のための正しい多角化論
松岡真宏
15秒!集客革命
15秒!集客革命
仲野直紀
ユニクロ
ユニクロ
杉本貴司
心理的安全性のつくりかた
心理的安全性のつくりかた
石井遼介
ローソン
ローソン
小川孔輔
ジョブ型人事の道しるべ
ジョブ型人事の道しるべ
藤井薫
組織と働き方の本質
組織と働き方の本質
小笹芳央
地頭力を鍛える
地頭力を鍛える
細谷功