高校生が感動した英語独習法

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高校生が感動した英語独習法
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高校生が感動した英語独習法
出版社
出版日
2024年01月29日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

日本人にとって、どこか気になる存在である「英語」。いつかは英語ができるようになりたいと思っている人は少なくないはずだ。その一方で、昨今の急激なAIの発展に伴って、「語学習得は本当に必要なのか」という議論も活発になってきた。

超人気予備校講師である安河内哲也氏は、英語学習不要論にこう答える。人が人にもっとも惹かれる以上、人間的なコミュニケーションはいっそう求められるだろう、と。たしかに、英語で「用を足す」ことだけが目的なのであれば、他の人や技術の力を借りればすむことだ。それでもなお「英語ができたら」と願うのは、自分の力でコミュニケーションが取りたいという気持ちが根底にあるからだろう。これは技術がどれだけ進歩してもなくなる欲求ではない。

だとすれば、問題は「どうやって英語をできるようにするか」だ。それにはまず、使用を前提とした英語学習に切り替えていかなければならない。中学校から英語を習い始める世代であれば、大学までならおよそ10年、英語に触れてきたはずだ。それなのに英語が話せないままなのは、「とりあえずしゃべってみること」という壁を超えられないからだと著者は指摘する。これには耳が痛いという人も多いことだろうか。多くの人はこれまでに十分英語をしゃべる「準備」をしてきた。あとは「実践」に向けて一歩を踏み出すだけだ。最後の勇気が欲しいという人には、本書が力強い味方になってくれることだろう。

ライター画像
池田明季哉

著者

安河内哲也(やすこうち てつや)
1967年、福岡県北九州市生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業。東進ハイスクール・東進ビジネススクール講師。情報経営イノベーション専門職大学客員教授・客員研究員。一般財団法人実用英語推進機構代表理事。米国認NPO ELT Society理事。話せる英語、使える英語を身につけることを重視し、実用英語教育の普及活動を推進。子どもから大人まで、英語をわかりやすく、楽しく教える手腕には定評がある。著書にベストセラーとなった『できる人の勉強法』(中経出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    他の国の英語学習者は、英語を道具だと捉えて自分の意見を伝えるためにどんどん使っている。対話するための英語力を身につけるには、マインドセットを変えなければならない。
  • 要点
    2
    スピーキング力を高めるために日本人の英語学習者が超えるべき壁は「とりあえずしゃべってみること」だ。多くの人は喋る「準備」ばかりしていて、「実践」をしていない。
  • 要点
    3
    英文法は言語習得の加速装置であり、実践に活かすために学ぶものである。
  • 要点
    4
    ChatGPTは、英語学習のあらゆる場面に活用可能だ。全学習者に使用を強くおすすめしたい。

要約

英語学習で一番大切なこと

山あり谷ありの英語人生

福岡県九州市にある遠賀郡岡垣町で生まれ育った著者は、東京の大学に進学するまでずっとその小さな町で暮らしていた。英語学習への転機が訪れたのは予備校時代。発音がネイティブ並みの魅力的な先生に出会い、授業中は先生の発音を真似て音読、家でもひたすら音読の練習を繰り返した。英語教育の権威である先生やお弟子さん、海外体験の話をしてくれる先生にも出会い、楽しく英語を教わることができた。当時は「読み書き以外の英語」を学ぶことはとても新鮮なことだった。「音」を使って学ぶ体験によって、一気に英語への関心が高まった。

「英語を話せるようになりたい!」と思った著者は、浪人を経て2回目の大学受験で上智大学の英語学科への進学を選択した。意気揚々と入学したが、英語学科のレベルは地方出身の著者を打ちのめすものだった。帰国子女などの海外経験者が入学者のうちかなりの数を占め、英語は聴けて話せて当たり前。受験勉強で身につけた英語は通用せず、授業で先生が話す英語がほとんどわからなかった。

英語学習のモチベーションが下がりフラストレーションが溜まっていた著者は、「アメリカに行けば英語が話せるようになる」という話にすがり、アルバイトで貯めたお金で2ヶ月半の全米を放浪する旅に出る。

マインドセットを手に入れる
nito100/gettyimages

当然ながら、アメリカへ行ってたった2ヶ月半でネイティブなみの英語力が身につくことはなかった。しかし、この経験は著者のマインドセットを大きく変えた。滞米中に一緒に過ごした旅行者たちの英語に対する姿勢は日本人とはまるで違っていた。彼らは英語を道具だと捉えて、自分の意見を伝えるために間違うことも気にせずにどんどん使っていたのだ。初歩的な文法の間違いがあっても、周囲の人を惹きつけ、感心させたり笑わせたりしている人たちがいる。これが世界で使われている英語なんだと知ったことは大きかった。

英語の技能向上はもちろん大切だが、それを現場で使いこなせなければ意味がない。対話力の重要性を認識した著者は、帰国後にアウトプットを重視する勉強法に変えて、もう一度英語に向き合った。

1年後に再度渡米したときには、英語を聴く力は大きく改善し、「対話する英語」になっているのを感じられた。TOEIC900点、TOEFL600点、英検1級と、英語科の学生としても申し分ないレベルに到達して卒業し、東進ハイスクールの英語講師として35年以上教壇に立ち続けている。

本書で伝えるのは、そんな経験に裏打ちされた、マインドセットを変えることから始める英語の正しい学習方法だ。

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要約公開日 2024.08.16
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