リーダーシップ・シフト

全員活躍チームをつくるシェアド・リーダーシップ
未読
リーダーシップ・シフト
リーダーシップ・シフト
全員活躍チームをつくるシェアド・リーダーシップ
未読
リーダーシップ・シフト
出版社
日本能率協会マネジメントセンター

出版社ページへ

出版日
2024年06月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

「リーダーはまず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」「リーダーは自身が大事にしている価値観に根ざして組織をリードする」。リーダーシップの発揮の仕方は実に多様になっている。ちなみに、前者は「サーバント・リーダーシップ」、後者は「オーセンティック・リーダーシップ」と呼ばれる。

本書『リーダーシップ・シフト』を開いてハッとさせられたのは、次の記述だ。「多くの職場では、リーダーシップの発揮はマネジャー一人に期待されている」。だが、著者らによると、複雑な変化が次々に起こる現代の職場では、リーダーシップが必要な場面が増え、求められるリーダーシップの質も高まっているという。そのため今は、マネジャーが果たすべき役割の難易度がかつてより高まっている。こうした影響からか、一般社員の中で、管理職になりたくないと考える人は77.3%にのぼるというデータもあるほどだ。

では、「リーダーシップはマネジャーが一人で発揮するもの」という常識を覆せたらどうか。本書が提案するのは、まさにそうした「シェアド・リーダーシップ」というあり方である。チームメンバー全員が強みを活かしてリーダーシップを発揮しよう、というのだ。

著者らは、多数の研究成果をもとに、シェアド・リーダーシップな全員活躍チームをいかにつくるかを解き明かしていく。こうしたチームづくりの実践によって、メディアを賑わす「管理職の罰ゲーム化」という状況が緩和していくのではないだろうか。そんな明るい展望のもと、本書を悩めるマネジャーに贈りたい。

ライター画像
松尾美里

著者

堀尾志保(ほりお しほ)
株式会社日本能率協会マネジメントセンター ラーニングデベロップメント本部 Director/Leadership Development。立教大学経営学部兼任講師、日本大学商学部非常勤講師などを兼任。博士(経営学)。専門はリーダーシップ論・人材開発論。高校時代に財団法人日本国際交流財団派遣生として米国に留学。立教大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。株式会社日本能率協会マネジメントセンターにて、通信教育事業本部コース開発第二部長、研修ラーニング事業本部研修開発部長などを経て現職。現職では米国リーダーシップ研究機関Center for Creative Leadershipなど海外の研究機関との渉外業務に加え、企業の管理職、リーダー人材を対象とした教育企画や調査研究に従事。著書に『コンピテンシーラーニング』『これからのリーダーシップ』(共著、ともに日本能率協会マネジメントセンター)などがある。

中原淳(なかはら じゅん)
立教大学経営学部教授。立教大学大学院経営学研究科リーダーシップ開発コース主査、立教大学経営学部リーダーシップ研究所副所長などを兼任。博士(人間科学)。専門は人材開発論・組織開発論。北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学講師・准教授等を経て、2017年~2019年まで立教大学経営学部ビジネスリーダーシッププログラム主査、2018年より現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・組織開発について研究している。著書に『経営学習論』(東京大学出版会)『研修開発入門』(ダイヤモンド社)『駆け出しマネジャーの成長論』(中央公論ラクレ)『チームワーキング』(共著、日本能率協会マネジメントセンター)ほか多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    シェアド・リーダーシップとは、「一人ひとりがリーダーシップを発揮し、その影響力が、複数のチームメンバーによって担われている創発的なチームの状態」を意味する。
  • 要点
    2
    シェアド・リーダーシップは、業績、イノベーション、メンバーの満足度、メンバーのリーダーに対する評価に、プラスの関係がある。さらには、テレワークによる求心力の低下をカバーする効果も期待できる。
  • 要点
    3
    本書では、シェアド・リーダーシップなチームをつくるための5つのSTEPを紹介する。

要約

【必読ポイント!】 シェアド・リーダーシップとは?

マネジャーを取り巻く5大変化

現在、マネジャー一人がリーダーシップを発揮してチームを束ねることは難しくなる一方だ。その背景には、「複雑化」「少数化」「多様化」「分散化」「多忙化」の5つの変化がある。マネジャー一人だけであらゆる課題に対処することは、もはや「無理ゲー」に近い。

そもそもリーダーシップとは、集団の共通目標の達成に向けた影響力のプロセスである。ヤフー元会長の宮坂学氏は、リーダーシップの要諦を山登りにたとえた。それは、仲間とともに登る山の高さを決めて、目標の達成に向けてお互いに働きかけ合うすべてのプロセスだという。ここからいえるのは、リーダー一人が登る山の高さを決めきり、先頭に立って登る必要はないということだ。

シェアド・リーダーシップの特徴
Nuthawut Somsuk/gettyimages

本書では、シェアド・リーダーシップに関する様々な定義から、共通した特徴が整理されている。これまでリーダーシップは、一人の公式リーダー個人が集中して、上から下へと垂直方向に発揮するものだと考えられていた。よって、その影響の結果は予定調和的だった。これに対し、シェアド・リーダーシップとは、複数のメンバーがリーダーシップを発揮しているチームの状態を指す。発揮の方向はメンバー間で水平方向になり、リーダーシップはチームのあちこちに散在する。よって、その影響は創発的なものとなる。

こうした特徴を踏まえて、本書では、シェアド・リーダーシップを次のように定義する。「一人ひとりがリーダーシップを発揮し、その影響力が、複数のチームメンバーによって担われている創発的なチームの状態」。ただし、シェアド・リーダーシップなチームをつくるうえで、マネジャーからの働きかけは重要な役割を果たす。

シェアド・リーダーシップのメリット

現在、シェアド・リーダーシップがもたらす効果を実証する研究が増えている。その研究によると、業績、イノベーション、メンバーの満足度、メンバーのリーダーに対する評価に、プラスの関係があるという。さらには、テレワークによる求心力の低下をカバーする効果も期待できる。

では、どうすればマネジャーは職場でシェアド・リーダーシップな全員活躍チームをつくれるのか。本書では、その方法を「シェアド・リーダーシップ 5STEPモデル」によって解説する。このモデルは、日本のイノベーティブな企業14社でシェアド・リーダーシップなチームを実現しているマネジャーに対する著者らの調査をベースとしている。

STEP1:イメトレしてはじめる

もっと見る
この続きを見るには...
残り3443/4500文字
会員登録(7日間無料)

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2024.08.30
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
組織不正はいつも正しい
組織不正はいつも正しい
中原翔
未読
成功の法則100ヶ条
成功の法則100ヶ条
三木谷浩史
未読
努力革命
努力革命
伊藤羊一尾原和啓
未読
20代の仕事の教科書
20代の仕事の教科書
藤尾允泰(監修)
未読
働くということ
働くということ
勅使川原真衣
未読
脳を最適化すれば能力は2倍になる
脳を最適化すれば能力は2倍になる
樺沢紫苑
未読
AIが答えを出せない 問いの設定力
AIが答えを出せない 問いの設定力
鳥潟幸志
未読
ミンツバーグの組織論
ミンツバーグの組織論
池村千秋(訳)ヘンリー・ミンツバーグ
未読