概念が相対化するのは、どんな概念も絶対ではないからだ。この世のすべてのものは相対的な存在だ。まして、人間が考えることで、絶対に正しいものなどあるわけがない。だから、常識という不確かなものを信じてはいけない。
大切なのは揺らぎながら進歩することだ。バランスを崩してはバランスを回復する。その繰り返しで人は前進する。
この認識はビジネスの現場でも役に立つ。三木谷氏が楽天市場を始めたとき、「インターネットのショッピングモールなんてアイディアは陳腐で時代遅れだ」といわれた。しかし、世の常識はいい加減なのだ。常識を疑い、信じる道を進もう。
人も企業も大きく成長するには、ブレイクスルーを経験しなければならない。限界を突破して初めて次のステージが見えてくる。その壁をはっきりと見せてくれるのが「明確な目標」だ。
アポロが月に行けたのは、月に行くという目標があったからだ。飛行機を改良した結果、月に行けたわけではない。ジョン・F・ケネディ氏が60年代末までに月面に人を送り込むという声明を発表したのは、1961年のことだ。演説の背景には、アメリカ人のスプートニク・ショックがあった。ソ連に人工衛星で先を越されたショックを払拭し、アメリカ国民の心を奮い立たせるために、ケネディは「9年以内に月に人類を送り込む計画を達成する」と期限を切った。それは、常識的にはほぼ不可能な目標だったはずだ。だが、だからこそ、宇宙開発に携わる人々に、目の前の壁の存在を自覚させた。そして、明確で具体的な目標を掲げたからこそ、彼らはそのすべての壁を乗り越えた。
これはあらゆるビジネスに当てはまる真理だ。必ず実現させるという信念を持って、大きな目標を立てよう。それが人や企業を飛躍的に成長させる。
準備のできていない人間は、大きなチャンスに手を触れることすらできない。楽天がITバブルの波に乗って成長できたのは、周到な準備があったからだ。その準備とは、日々の小さな努力の積み重ねでしかない。
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