グイグイみんなを引っ張って、決断力があり、人々を壮大なビジョンで巻き込む。リーダーにはそんなイメージがあるかもしれない。著者もその一人だったが、自分にはとても無理だと感じていた。
では、どのようなリーダーになればいいのか。悩んだ著者が目指したのは、一般社員時代に「ああはなるまい」と反面教師にしたリーダーにはならないことである。しかし、これもうまくいかなかった。チームメンバーが退職するたびに、自分のせいではないかと自分を責めた。
その考えが変わったのは、課長になってから5年、40名近くの部下を持ったときである。メンバーと会話をしていくなかで、自分が引っ張らずとも、みんなを後押しすれば目標に向かっていけるということに気づいたのだ。
リーダーとして必要なのは「自分がどんなリーダーになりたいか」ではなく、「チームのために何ができるか」という視点だ。反面教師のリーダー像は、「自分は部下に嫌われたくない」という気持ちの裏返しである。
「チームのために何ができるか」を考えると、やるべきことは自ずと見えてくる。その積み重ねが、自分らしいリーダーシップにつながるのだ。
「自分がリーダーに選ばれた」のには理由がある。自分は「大したことない」と思っていることも、他人から見たら「すごい」ということも少なくない。
著者が部長から課長職の昇格試験を受けるよう薦められたとき、「過大評価しているのでは」と思った。著者は自身のことを「他人とあまり関わらないタイプ」と認識していたが、部長は「新入社員が入って来たとき、テキストをつくってよく面倒を見てくれた。あなたは自分が思うよりも、人と協力して仕事ができるタイプだよ」と、推薦した理由を教えてくれた。
会社は、順番や年齢、性別だけで昇格を打診しない。その人の仕事ぶりや人となりをきちんと評価しているからこそ、推薦するのだ。
自分がなぜ選ばれたのか。なぜ評価してもらえたのか。聞くのは気恥ずかしいかもしれないが、思いきって上司に聞いてみよう。あなたが選ばれた理由を、喜んで教えてくれるはずだ。
子育て中で時短勤務をしている人など、「時間に制約のある」人の仕事は生産性が高い。通信系の会社に勤めるYさんもその一人だった。
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