裸眼思考

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出版社
かんき出版

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出版日
2024年09月17日
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おすすめポイント

目的のないビジネスはない。あらゆるビジネスには、なんらかの目的が掲げられている。その目的を達成するための目的が、その下に置かれることも少なくない。ビジネスパーソンは必然的に「目的思考」を持ち、目的をいかに効率よく素早く達成するかに邁進することとなる。

だが待ってほしい、果たしてそうした態度を取ることだけが正義なのだろうか――そう本書は問いかける。私たちは目的をスピーディに達成すべく、過去の知識のデータベースから、物事を単純化して捉え、きっぱりと言い切ることを好む。とりわけビジネス環境ではそうだ。だが、そうした考えだけでは、変化の激しい時代には対応できなくなるかもしれない。

そこで著者はこう提案する。目的と知識に囚われたレンズを外すことで、物事を俯瞰してみませんか、と。これが本書のタイトルにもなっている「裸眼思考」につながっている。「急がば回れ」ではないが、物事を単純化した末にたどり着くのは、やはり単純化されたゴールだ。より本質を捉えるためには、裸眼で見るというモード「も」同時に獲得する必要がある。

ビジネスにおける目的思考の重要性を知り尽くしている著者だからこそ、「それだけでは今後やっていけない」という言葉には、たしかな実感と説得力がある。目的意識を強く持っている人、それで成功を収めてきた人にこそ、この「処方箋」は効くはずだ。

著者

荒木博行(あらき ひろゆき)
◉――株式会社学びデザイン 代表取締役
◉――武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授
◉――住友商事、グロービス(経営大学院副研究科長)を経て、株式会社学びデザインを設立。株式会社フライヤーなどスタートアップのアドバイザーとして関わる他、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部、金沢工業大学大学院、グロービス経営大学院などで教員活動も行う。
◉――音声メディアVoicy「荒木博行のbook cafe」、Podcast「超相対性理論」のパーソナリティを務めるとともに、株式会社COASにおけるホースローグのプログラムディレクターや一般社団法人うらほろ樂舎でラーニング・デザイナーも務める。
◉――著書に『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』シリーズ(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』『世界「失敗」製品図鑑』(ともに日経BP)、『自分の頭で考える読書』(日本実業出版社)、『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)、『独学の地図』(東洋経済新報社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    私たちは、「目的」「知識」という2つの強力なレンズを通して世界を見ている。だが時には、ありのままを見つめるために「裸眼」にならなければならない。
  • 要点
    2
    「裸眼思考」は、「知覚」「保留」「記憶」の3ステップからなる。
  • 要点
    3
    意図的に「知覚」することで、「感覚」のズレを補正することができる。
  • 要点
    4
    強いリーダーシップが行き過ぎると、「全能感」という副作用に見舞われる。知覚したことをすぐに解釈せず、「保留」しておくことも必要だ。
  • 要点
    5
    保留しておいた問いは、忘れないように「記憶」しよう。その際は感情に流されず、客観的に眺めることが肝心だ。

要約

【必読ポイント!】 「裸眼思考」とは何か

私たちは「目的病」にかかっている

現代を生きる私たちは常に目的に囚われており、その目的に対して最も効率的な行動を取るべきだと迫られている。すべての行動に「目的」が定められ、それに追い立てられるような状態は「目的病」とも呼ぶことができる。

目的意識そのものは悪いことではない。だが目的病にかかってしまうと、その限度を超え、すべての行動が支配されてしまう。その結果、目的達成のためのスピードは速まるものの、周囲の細かい変化に気づけず、本当に大切なものを見落としてしまう。

しかもやっかいなのが、仕事がうまくいっている時ほど、自分が目的病にかかっていると気づかないことだ。「効率的に仕事ができる人」「短期間で成果をあげられる人」と評価されることで、目的病はさらに加速していく。だがその裏側で、目の前のことをありのままに感じる力は失われるのである。

仮説が「固説」になるとき
P.40 より引用(かんき出版提供)

「目的病」に加え、度を過ぎるとかかってしまうのが「知識病」だ。私たちは何かを判断する時、過去の知識や経験をもとにして考える。いわゆる「パターン認識」と呼ばれるもので、一見すると素晴らしい能力のように思える。

だが蓄積した知識が通用するのは、その事象が過去の延長線上にある時だけで、前提が変わってしまえば役に立たない。

知識はあればあるほど良いと考えられてきたが、常にそうとは限らない。中途半端な知識が大量にあっても、身動きが取れなくなったり、誤解して間違った行動を取ってしまったりすることもある。

この時、気をつけるべき言葉が「仮説」である。知識病にかかっていると、「自分の仮説は正しい」と思い込みがちだ。だが、正しいかどうかを検証することを怠り、その仮説に固執してしまうようでは、「仮説」ではなくもはや「固説」になってしまう。

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要約公開日 2024.10.23
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