世界で一番やさしい会議の教科書 実践編
世界で一番やさしい会議の教科書 実践編
著者
世界で一番やさしい会議の教科書 実践編
著者
出版社
出版日
2018年05月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

発言がまったくない、同じ人ばかり話している、脱線が止まらない……「グダグダ会議」のあるある現象だ。こうした現象を防ぎ、会議を生産性の高いものにしたいなら、ぜひ本書を手に取ってほしい。

本書は、ベストセラー『世界で一番やさしい会議の教科書』の著者、榊巻亮氏が、「グダグダ会議」を撲滅する実践的なノウハウをまとめた一冊だ。

榊巻氏は本書で、ファシリテーションのスキルを「8つの基本動作」に整理している。すなわち「終了時に、決まったこととやるべきことを確認する」「開始時に、会議の終了条件を確認する」「開始時に、時間配分を確認する」「会議中に、議論を可視化する」「会議前に、準備する」「会議中に、全員から主張を引き出す」「会議中に、対話を促し合意形成する」「会議後に、振り返りをする」だ。

これら「8つの基本動作」を知った人の多くは「ファシリテーションって、参加者から意見を引き出して、時間内に合意形成することだけではないんだ」と驚くだろう。そして、一つひとつの「基本動作」はどれも良い会議に不可欠な行動だと気づかされるのではないだろうか。

榊巻氏によると、ビジネスパーソンは生涯で実に3万時間を会議に費やすという。この3万時間をより有意義なものにしたい人にとって、本書は必読の一冊だ。どの「基本動作」もすぐに取り入れられるような形で書かれているので、ファシリテーション経験の少ない人も臆さず読み進めてほしい。

著者

榊巻亮(さかまき りょう)
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ
ディレクター
大学卒業後、大和ハウス工業に入社。住宅の設計業務に従事すると同時に、業務改善活動に携わり、改革をやり遂げる大変さ、現場を巻き込み納得感を引き出すことの大事さを痛感する。ケンブリッジ入社後は「現場を変えられるコンサルタント」を目指し、金融・通信・運送など幅広い業界で業務改革プロジェクトに参画。新サービス立ち上げプロジェクトや、人材育成を重視したプロジェクトなども数多く支援。ファシリテーションを活かした納得感のあるプロジェクト推進を得意としている。一級建築士。主な著書に『業務改革の教科書』(日本経済新聞出版社)、『世界で一番やさしい会議の教科書』『抵抗勢力との向き合い方』(ともに日経BP社)。ビジネス誌での連載や寄稿に加え、講演やセミナーなどの活動も行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    ファシリテーションの「8つの基本動作」は「終了時に、決まったこととやるべきことを確認する」「開始時に、会議の終了条件を確認する」「開始時に、時間配分を確認する」「会議中に、議論を可視化する」「会議前に、準備する」「会議中に、全員から主張を引き出す」「会議中に、対話を促し合意形成する」「会議後に、振り返りをする」だ。
  • 要点
    2
    決まったこととやるべきことを確認する際には、「担当者」と「期限」をセットで確認する、議論の流れをダイジェストで振り返る、決まっていないことも確認する、の3点を意識しよう。

要約

ファシリテーションスキルの全体像

4つのスタイルと8つの基本動作

本書では、ファシリテーションのスキルを「8つの基本動作」に分解して整理している。8つの基本動作は、大きく4つのファシリテーションスタイルに分類される。

【「確認する」ファシリテーション】

(1)終了時に、決まったこととやるべきことを確認する

(2)開始時に、会議の終了条件を確認する

(3)開始時に、時間配分を確認する

【「書く」ファシリテーション】

(4)会議中に、議論を可視化する

【「準備する」ファシリテーション】

(5)会議前に、準備する

【「矢面に立つ」ファシリテーション】

(6)会議中に、全員から主張を引き出す

(7)会議中に、対話を促し合意形成する

(8)会議後に、振り返りをする

本書では「8つの基本動作」について一つひとつ解説されているが、要約ではそのうち4つを取り上げる。

【必読ポイント!】 終了時に、決まったこととやるべきことを確認する

やるべきこと
recep-bg/gettyimages

決定事項が曖昧なまま終わる会議がある。これでは、会議を開く意味がない。

そのような事態を防ぐために、会議の終了時には「決まったこと」と「やるべきこと」を確認しよう。「決まったことは××、やるべきことは△△ですよね?」と言うだけでよい。たったそれだけで、結論を誤解なく全員に共有できる。

押さえるべきポイント

決まったこととやるべきことを確認する際には、以下の3点を意識するとよい。

1つ目は、「担当者」と「期限」をセットで確認することだ。この2つの要素は、やるべきことを漏れなく実行するために必須である。

2つ目は、議論の流れをダイジェストで振り返ることだ。「今日の会議は課題意識の共有からはじまって…教育の現状についてまで議論しました。認識が合ったところで改善方針の案が出て、A案は懸念が多かったので、C案を中心に進めることで合意できました」といった感じで振り返った後に、決まったこととやるべきことを確認すれば、頭が整理できる。育成の一環として、振り返り役を若手に任せるのもよいだろう。

3つ目は、決まっていない点も確認することだ。「今年度の営業方針は××と決まりました。一方で、資料を作る人や営業拠点への伝達方法は決まっていませんね」などと確認しておけば、一層理解が深まる。

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要約公開日 2025.01.09
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