職場の同僚のフォローに疲れたら読む本
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職場の同僚のフォローに疲れたら読む本
出版社
出版日
2024年08月08日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

会社にかかってくる電話。誰もとろうとしないから、仕方なく自分が応対している。

「子どもが熱を出した」と急に休む同僚。事情はわかるけど、しわ寄せはこっちにまわってくる。今日も残業確定だ。

職場でこんな「しんどさ」を抱えている人は多いだろう。「よく気がつく人」「責任感が強い人」ほどこうした状況に巻き込まれて疲弊しやすい。本書はそんな「フォロー疲れ」をしてしまった人のための一冊だ。

職場にはタスクリストに上がらない「名もなきフォロー」がたくさん存在する。もともと人員が足りていないところに、さまざまな事情から「名もなきフォロー」が発生すると、誰かがその役を担わなければならない。親切心から積極的に応じても、あまり評価されなかったり、感謝されなかったりすることは少なくない。こういうことが度重なると、次第に投げやりな気持ちになり、メンタルダウンしてしまう可能性もある。

フォローを自ら買って出るタイプの人は、まわりに対して気がきく反面、自分の疲れには鈍感だ。知らず知らずのうちに疲れをためて取り返しのつかない事態に陥らないためにも、まずは「自分が疲れている」ことに気づく必要がある。本書では自分の疲れに気づいて、それを癒し、エネルギーを補充する方法を教えてくれる。

増え続ける仕事、減り続ける人員に「もう限界!」と叫んでしまいそうな人は、今すぐ本書を開いてほしい。まずは自分自身を「フォローして」あげることが先決だ。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

佐藤恵美(さとう えみ)
メンタルサポート&コンサル沖縄代表、精神保健福祉士、公認心理師、キャリアコンサルタント、臨床発達心理士
20年間で1万人以上の相談実績がある、労働者メンタルヘルスの専門家。北里大学大学院医療系研究科産業精神保健学修了。医科学修士。日本産業精神保健学会理事。埼玉県内の精神科単科病院医療相談室、東京都内の医療法人社団弘冨会神田東クリニック副院長、同法人MPSセンター副センター長を経て、2020年に「メンタルサポート&コンサル沖縄」を設立。現在、沖縄在住。県内外の企業や官公庁に対して、さまざまなメンタルヘルスサービスを提供し、年間500人以上にカウンセリングを行なっている。著書に『もし部下が発達障害だったら』『「判断するのが怖い」あなたへ』(以上、ディスカヴァー携書)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    人手不足の職場では「名もなきフォロー」が頻発し、職場の余裕を奪っている。
  • 要点
    2
    フォローには疲弊するものと、それほど負担に感じないものがある。その違いは、「報われ感」があるかどうかだ。感謝や成長などの「心理的な報酬」があれば、フォローしても疲弊することが少ない。
  • 要点
    3
    フォロー疲れをしている人は、自分の「内側」に目を向けてみよう。「自分自身を客観視すること」「自分の心や行動に関する技術を学び、使うこと」の2つを実践していくと、どんな場面でも柔軟に対応できるようになる。

要約

なぜ私たちの職場には余裕がないのか?

「名もなきフォロー」の正体

職場の同僚のフォローに疲れてしまっている人が増えている。職場には「協力」、「助け合い」という言葉のもとに、釈然としない「名もなきフォロー」が数多く存在する。

「人のフォローがしんどくなる」状況が生まれる背景には、産業構造の変化がある。かつては生産性の高い分野に人材が集まっていたが、2000年代以降、生産性の低い分野に労働力が流れるようになった。パートタイマーや非正規従業員の割合が増え、人手不足の職場では「パートの人の仕事がまわるように、正社員が調整する」「本来は正社員の仕事だけど、契約社員がフォローする」といったことが起きている。これが「名もなきフォロー」の正体だ。

「名もなきフォロー」は職場の余裕を奪っていく。誰もが目の前の仕事に手一杯であるため、評価されない穴埋め仕事は避けるようになる。その役割を負わざるを得ないメンバーは、「なんで自分が?」と割を食った気持ちになりやすい。こうして職場での対立が起こりやすくなるのである。

メンタルヘルス不調と「休職ドミノ」
filadendron/gettyimages

職場の余裕のなさは、働く人のメンタルにも影響を与える。

厚生労働省の調査によると、メンタルヘルス不調による休職者は年々増加している。休職者が出ると残りのメンバーの負担が増え、休職者が相次ぐ「休職ドミノ」が起きることがある。

本来、職場では誰か1人が抜けても円滑に対応できるよう、業務の標準化や平準化、1人で複数の業務ができる多能工化が必要だ。しかしそれは、人員に余裕がなければ不可能だ。「1人抜けたらアウト」というギリギリの状況のため、疲労の蓄積からメンタルヘルス不調に陥る人は後を絶たない。

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要約公開日 2025.02.12
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