「インサイト」という言葉には様々な解釈があるが、本書では「人を動かす隠れたホンネ」と定義する。
多くの人は、自分の「ホンネ」に気づいていない。例えば、友人に「あの人のこと好きなんでしょ?」と指摘されてはじめて、「あの人のことが好きだったんだ」と気づくことがある。これが、自分すら気づいていなかった「隠れたホンネ」である。
「ホンネ」は、人の心や体を無条件に動かす力を持っている。「あのときは大変だったね」と言われて涙が出るのもその一例だ。涙がこぼれたのは、言葉によって「隠れたホンネ」が引き出され、心身が反応したからである。
人は往々にして「自分が本当にほしいもの」を自覚していない。そのため、実際にほしいものとは少し違うものを求めてしまうことがある。その人の欲望をうまく言語化することができれば、心を掴み、喜ばせることができるだろう。
「インサイト」は、仕事でもプライベートでも活用できる。インサイトを使えば、特定の人々を自分たちの期待通りに動かすことも可能なのだ。
うまく機能するインサイトは「5つの条件」を満たしている。
(1)聞き手の内面に気づかせ、ハッとさせる新たな発見や驚きがあること(Surprise)
(2)発想を拡げるインスピレーションを感じさせること(Inspiration)
(3)自分が心から「そうだ」と思えること(Commitment)
(4)1行で言い表せて、誰もが理解可能な言葉にできること(Wording)
(5)人間らしさ・人間の本質があること(Essential)
インサイトは「人を動かす」と「隠れたホンネ」の2つの要素から成り立つが、インサイトと似て異なるものに「ニーズ」「ファインディングス」「常識/定説」がある。ニーズは、明らかな(隠されていない)ホンネであり、ファインディングスは、隠れたホンネだけど人を動かさないことが多い。そして常識/定説は明らかなホンネであり、人も動かない。
インサイトは、「5つの条件」を丁寧に確認しながら見つける必要がある。
インサイトは「センスの良い人」でなくても見つけられる。インサイトの見つけ方には「基本の型」があり、「型」を使えばセンスの有無にかかわらず、誰でも見つけることができるのだ。
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