センスのよい考えには、「型」がある
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出版社
サンマーク出版

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出版日
2024年11月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「売れる商品のつくり方」を知っているプロマーケターたちは、「ヒットの種」をどう見つけているのだろうか?

本書は、日本トップクラスの広告会社・電通で実践されている「思考のプロセス」をまとめた一冊だ。電通のマーケターたちが、売れる商品やサービスをつくるために、最も重視しているのが「インサイト」である。

本書では、インサイトを「人を動かす隠れたホンネ」と定義する。人とは不思議なもので、自分の本心や欲望に自分でも気づいていないことが多い。そのため、誰かにそれを言い当てられたり「自分が求めていたのはこれだ……!」というものに出会ったりすると、一瞬で心をつかまれてしまう。

心が動けばカラダも動く。人を行動に駆り立てるモノやサービスやアイデアのベースには、必ず「インサイト」が存在する……というのが、本書の主張である。

では、どうすれば「インサイト」を見つけられるのだろうか?

これまでインサイトは「一部のセンスのある人たちが、直感的に見つけるもの」だと考えられてきた。だが著者らは、「野球のバッティングのように『型』を覚えれば、誰でも見つけられる」と断言する。そして、長年の知識と経験をもとにつくりあげたのが、インサイト発見のフレームワーク「出世魚モデル」だ。要約では「出世魚モデル」のステップと応用事例を中心に構成した。

インサイトはビジネスだけでなく、身近な人間関係にも応用できる。ぜひ本書のメソッドを実践して、インサイトの使い手になってはいかがだろうか。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

佐藤真木(さとう まき)
株式会社電通 第3マーケティング局
シニア・マーケティング・ディレクター
慶應義塾大学経済学部卒業。2004年、株式会社電通に入社後、主にマーケティングやブランディング、戦略立案に従事。大手クライアントから官公庁、地方自治体、スタートアップまで、100社以上のキャンペーン設計、広報戦略、新商品開発、新規事業戦略、ビジネスデザイン、企業ブランディング、地域ブランディング、アート思考研修などの企画、実施、ディレクションを行う。
共著に『場所のブランド論』(中央経済社)、教育講座の執筆協力に『想像力を武器にする「アート思考」入門』(PHP研究所)がある。

阿佐見綾香(あさみ あやか)
株式会社電通 第4マーケティング局
マーケティング・コンサルタント
埼玉県さいたま市浦和出身。早稲田大学卒業後、2009年、株式会社電通に入社。以来、マーケティング・コンサルタントとして、数多くの企業のマーケティング、経営戦略、事業・商品開発、リサーチ、企画プランニングに従事。担当した業種は化粧品・アパレル・家庭用品・食品・飲料・自動車・レジャー・家電など。大手企業だけでなく、ベンチャー・中小企業も担当するなど、幅広い業種・規模の企業を手掛ける。著書に、累計2万部越えのベストセラーとなった『電通現役戦略プランナーのヒットをつくる「調べ方」の教科書 あなたの商品がもっと売れるマーケティングリサーチ術』(PHP研究所)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    インサイトとは「人を動かす隠れたホンネ」だ。インサイトを使えば、特定の人々を自分たちの期待通りに動かすことができる。
  • 要点
    2
    ごく小さな「気づき」や「違和感」を少しずつ育てていくことで、インサイトに成長する。この思考プロセスを「型」にしたのが、インサイトの「出世魚モデル」だ。
  • 要点
    3
    「出世魚モデル」は5つのステップで構成される。(1)日常の中の違和感に目を向ける(2)違和感を抱いたのはどんな常識か?を明らかにする(3)どんなホンネが隠れているか?を探る(4)隠れたホンネを、納得のいく言葉にする(5)自分の言葉を、みんなに信じてもらう

要約

「インサイト」とは何か

「隠れたホンネ」が人を動かす
P.35 より引用(サンマーク出版提供)

「インサイト」という言葉には様々な解釈があるが、本書では「人を動かす隠れたホンネ」と定義する。

多くの人は、自分の「ホンネ」に気づいていない。例えば、友人に「あの人のこと好きなんでしょ?」と指摘されてはじめて、「あの人のことが好きだったんだ」と気づくことがある。これが、自分すら気づいていなかった「隠れたホンネ」である。

「ホンネ」は、人の心や体を無条件に動かす力を持っている。「あのときは大変だったね」と言われて涙が出るのもその一例だ。涙がこぼれたのは、言葉によって「隠れたホンネ」が引き出され、心身が反応したからである。

人は往々にして「自分が本当にほしいもの」を自覚していない。そのため、実際にほしいものとは少し違うものを求めてしまうことがある。その人の欲望をうまく言語化することができれば、心を掴み、喜ばせることができるだろう。

「インサイト」は、仕事でもプライベートでも活用できる。インサイトを使えば、特定の人々を自分たちの期待通りに動かすことも可能なのだ。

機能するインサイト「5つの条件」

うまく機能するインサイトは「5つの条件」を満たしている。

(1)聞き手の内面に気づかせ、ハッとさせる新たな発見や驚きがあること(Surprise)

(2)発想を拡げるインスピレーションを感じさせること(Inspiration)

(3)自分が心から「そうだ」と思えること(Commitment)

(4)1行で言い表せて、誰もが理解可能な言葉にできること(Wording)

(5)人間らしさ・人間の本質があること(Essential)

インサイトは「人を動かす」と「隠れたホンネ」の2つの要素から成り立つが、インサイトと似て異なるものに「ニーズ」「ファインディングス」「常識/定説」がある。ニーズは、明らかな(隠されていない)ホンネであり、ファインディングスは、隠れたホンネだけど人を動かさないことが多い。そして常識/定説は明らかなホンネであり、人も動かない。

インサイトは、「5つの条件」を丁寧に確認しながら見つける必要がある。

【必読ポイント!】インサイトの見つけ方

インサイトは誰でも見つけられる

インサイトは「センスの良い人」でなくても見つけられる。インサイトの見つけ方には「基本の型」があり、「型」を使えばセンスの有無にかかわらず、誰でも見つけることができるのだ。

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要約公開日 2025.03.18
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