「この仕事、やるかどうか今決めろ」と上司に言われたとき。「この場で決めてください」と取引先に言われたとき。
ここであなたが気をつけることはわずか4文字に凝縮される。「あ・せ・る・な」だ。あせった状態で決断をして信用をなくすのは最悪で、そうした決断の価値は低い。
「今決めろ」と言われても、若干の考える時間はあるはずだ。だからたとえば、「9秒ください」と言って落ち着いてから判断する。
ほんの一瞬だけ、チャンスが訪れるということも確かにある。短い時間での決断に委縮してチャンスを逃してしまうということもあるので、落ち着いた上で、積極的に判断しよう。
働いていると、上司や取引先、顧客から、それって脅しだろう……と感じる発言をされることがある。たとえば、「この仕事、やらないとクビだぞ」など。
ここで動揺しては負けだ。こんなときに効くのは、冷静に「この仕事やらないとクビだって、言いました?」と切り返し、相手の失言を「見える化」することだ。
「示談交渉」という、加害者を弁護するために被害者と賠償の交渉をするとき、たいてい被害者は感情的になっており、加害者に対して感情的に「もう、死んでほしい」と発言することさえあるという。そこで、筆者はそのまま「死んでほしい」とメモをとることにしている。改めてそのように見せつけられると、相手はあわてて、感情的な発言を控えるようになるそうだ。
あなたのチームが仕事で失敗し、ミスをした先輩が、「何だよ、オレの責任だって言いたいのか?」と逆ギレしてきた。そのときは冷静に、「それを最後に決めるのは社長ですから。」というふうに、最終的な判断者は別人であることを指摘しておこう。「そうは言っていませんが……」と否定するのは、誤解を招きかねず、危険だ。
こうした場合、相手は、「善・悪」「敵・味方」がはっきりしたものと考える二分論的な考え方にはまっている。責任論につき合うと、つまり自分の味方かそうでないのかという議論につき合わされることになる。それは避けて、誰が責任をとるかは、別の場で決めるものだというふうにスルーするのがよい。
テレビや雑誌などで紹介される「上司への不満ランキング」でいつも上位にくいこむのが、「上司の意見がコロコロ変わる」という不満だ。
人は一貫しているものを好む。コロコロ意見が変わる人は、あまり信用されない。
ただ、上司の意見が変わるケースには、①本当にその上司のせい、②違う原因がある、という二種類があることを知っておきたい。①で、いつも上司が一貫性を保てない場合、「前はこういう指示でしたよね」と指摘したり、後日指示が変わる可能性を考慮して仕事をしたりするほうが無難だろう。
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