着実に成果を上げるビジネスパーソンの多くは、「学びのサイクル」を当たり前のように回せている。学びのサイクルとは、次の5つからなる。①キャリアを考え、何を学ぶのかを決める、②インプットする、③次のために振り返る、④アウトプットする、⑤フィードバックを受ける。このサイクルを意識的に回し、再現性を持たせることが非常に大切である。この5つを各章で具体的に紹介していきたい。
まず、①の段階では、積極的な キャリア構築を図るために、「自分がどういうキャリアを歩みたいのか」を明確にし、それに必要な能力開発を計画的に行っていくことが欠かせない。そうすれば、効率的に自分が歩みたいキャリアに近づきやすい。何を学ぶべきかを規定するためには、「なりたい自分」と「今の自分」のギャップを明確にする必要がある。
また、社会からの 要請によって、身につけるべき能力も変化していっている。激変する現在においては、自ら新しい問題を発見・定義し、創造や変革を推進する能力が求められている。「何のために学ぶのか」という目的意識が明確ならば、モチベーションも維持できるはずだ。
学ぶテーマ と期間を決めたら、基本事項 が整理された「教科書的な本」を最低10冊読むことを強くお勧めする。この程度の分量を読めば、自分の中に考える軸を持ち、そのテーマについて議論することが可能になる。「読書を通じた 学び」を増やすには、「読書量」、「良書比率」、「1冊あたりのインプット量」の3つをそれぞれ高めることが重要である。具体的な方法をいくつか紹介しよう。
・本によってかけるべき時間にメリハリをつける
「学びの多さ」と「必要性の多さ」という判断軸で、読書に費やす時間を見極めるとよい。「学びが少なく、今必要でないもの」は早めに見切りをつけること。「必要性が高いが学びが少ないもの」は「拾い読み」を行い、「学びが多いが、今必要性が少ないもの」は、本当に必要になったタイミングで、その本に立ち返れるよう要点を押さえておくとよい。最後に、「今必要であり、かつ学びの多いもの」については、速読は過度に意識せず、内容の定着率を高めることを意識して読むことをお勧めする。
・「本の構造」を意識しながら読む
ビジネス書を読む場合は、テーマ(著者が本を通じて明らかにしたい問い)、メッセージ(その問いに対する答え)、構成(その答えを支えるいくつかの論拠)の3点を読む前に押さえておけば、読書時間を短縮することができる。そのためにはまず、「はじめに」と「おわりに」そして「目次」に目を通すとよい。
・新聞の書評欄などを参考にする
新聞の書評欄では、業界の著名人や研究者が本を紹介しており、はずれが少ない。また、良書をサマリーした雑誌、本やブログなどに目を通しておくのも効果的だ。
新聞や雑誌、インターネット、テレビなどの媒体から「どう学ぶか」についての原則をいくつか紹介しよう。
・新聞や雑誌では「知らないこと、関係ないこと」に着目する
インターネット上では、興味があることや同調意見ばかりに目が行きやすい。一方、新聞や雑誌では、雑多な情報や意見がまとめて目に入ってきやすいため、この特性を踏まえて、普段興味や関係がない記事を深く読んでみるとよいだろう。
・インターネットでは「双方向性」を活かす
インターネットでインプットする際には、その内容を踏まえて発信や問いかけをすることができ、それに対するリアクションを通じて、学びを深めることができる。
さまざまな 情報や経験のインプットを、良質の学びに昇華していくために不可欠なのが、「振り返り」である。
3,400冊以上の要約が楽しめる