人間関係をよくするには、話のネタや気の利いたオチよりも大事なことがある。それは相手との距離感のつかみ方だ。好かれる人はこの距離感の取り方が上手で、相手の感情の変化を瞬時に読み取りながら、センス良く言葉や言い方を選択している。一方、距離感をつかめない人は、言葉や言い方の選択を誤り、相手の感情を害してしまいがちだ。つまり、「会話が苦手」と悩んでいる人は、距離感をつかむのが苦手というケースが多い。
そのような悩みを解決するメソッドとして、本書では「味方を増やす7つの法則」を紹介している。
① サービス精神を常に持つ
② プラスアルファを意識する
③ 相手が喜ぶことを優先する
④ 相手の感情を整理する
⑤ 相手に気分よく話してもらう
⑥ マイナス感情を出さない
⑦ 温めることを意識する
次の項目では、この7つの法則の中からいくつか具体例を紹介しよう。
「おもてなし」の心は接客業だけでなく、あらゆるコミュニケーションの土台になる。著者は、おもてなしを「準備、融通、フィードバック」の3つに因数分解できると述べている。まず、どんな仕事であれ事前の準備が不可欠だ。現場では、計画通りにいかないこともあるだろう。そのたびに融通を利かせ、軌道修正を図る必要がある。そしてひと仕事終わったら、その経験を次の仕事にフィードバックする。
相手に気持ちよく働いてもらうためには、まず自分がしっかりしないといけない。その「しっかり度」を示すのが、「準備、融通、フィードバック」の質と量だ。それを突き詰めると、相手に対する「おもてなし」につながる。
取引先や顧客と接する際、業務的なやりとりをするだけではお互いの距離を縮めることはできない。型通りのやりとりだけでなく、ほんの少しの業務プラスアルファの言葉を付け加えるだけで、相手の感情が変わったり緊張を緩めたりすることができる。それを毎回積み重ねれば、お客さんとの関係性が変わる。つまり、「ファン」を獲得することができるのだ。
例えば、モノを買ったり発注先を選んだりするとき、最終的に担当者の人間性や親近感が決め手になった、という経験をした人も少なくないだろう。型どおりの対応でも仕事に支障はないが、プラスアルファを意識することで様々なメリットがある。
ところが、こういった業務プラスアルファを意識している人は意外に少ない。気の利いたオチや笑いを誘う話術でなくても、何かひと一言声をかけるだけでどんな相手とも交流できるようになる。著者はそれを「雑談力」と呼んでおり、信頼関係を築く大切なスキルだという。
ただし、相手との関係を早く深めようとするあまり、やたらと饒舌に語る人もいるが、それではマイナスになってしまう。豊かな人間関係を築くには、やはり適度なプラスアルファを心がけたい。
「ストレスを感じる人は嫌い、感じない人は好き。ストレスを減らしてくれる人はもっと好き」。このように仕事や人間関係における好き嫌いは、ストレスが大きな原因の一つになっている。では、どうすれば相手のストレスを減らすことができるのだろう。
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