チームの雰囲気や意心地の良さによって、プロジェクトの成果も異なる。よって、チームをまとめるリーダーの選任は非常に大切である。
チームメンバーのとる行動は、「TMI理論」と呼ばれる組織論に従うと、T機能、M機能、I機能の3つのうちいずれかに分類されるという。
T機能は「タスク機能」と呼ばれ、率先垂範、意欲、決断力など、組織の目標を達成し、課題を解決する機能のことだ。T機能が高いと業績が向上する一方、強すぎれば目標中心の組織となり、潤いのある人間関係が育たなくなる傾向がある。
M機能は「メンテナンス機能」と呼ばれ、コミュニケーション力、優しさ、協調性など、組織を維持する機能だ。M機能が高いと組織への忠誠心、意欲が高まりチームワークが良くなる。が、強すぎると組織は仲良し集団化し目標達成能力が落ちる。
I機能は「インディビジュアル・ビヘイビア機能」と呼び、組織を破壊する私的な欲求からくる行動を指し、陰口を言う、否定的、協力をしないなど人に悪い影響を与えるものだ。I機能は別の機能を犯し悪い方向に導き、業績が下がる原因にもなってしまう。
新規プロジェクトの場合はすぐに成果を出す必要があるためT機能を持っている人物が最初にリーダーを務めるのが良い。が、T機能が強まるとメンバーのやる気が損なわれるため、時間が経過してからM機能の人物をリーダーにすると良い。I機能の強い人をリーダーにしてはいけない。
メンバーのやる気を出すためには、給与・勤務体系などの待遇を良くすること/安全、安心、安定した職場環境があること/メンバー同士が信頼し合っており仲良く働きたいと感じること/認められること/成長して働けること、の5つの欲求を満たす必要がある。
プロジェクトチームが安定基地になっていればメンバーはチャレンジでき、その結果思いがけない成功をおさめることがあるが、プロジェクトチームが不安定であると平凡な結果しか生まない。リーダーはプラスの言葉、動作、表情を心がけチームを活性化させよう。
しかしながら、仲良くするだけでは組織管理が甘くなってしまい、不正や着服が「やめられない、とまらない」状態に陥ってしまう。例えば、不正行為が発見されず繰り返され、最終的にメンバーを辞めさせるといった状況にもなりかねない。大切なメンバーを守るためにも、管理体制はきちんと保たねばならない。
リーダーとマネージャーは異なる役割を果たす。リーダーは指導者で、メンバーを引っ張り、その気にさせ、彼らの能力を最大限に発揮させ、プロジェクトを目標に到達させることを目指す存在である。一方、マネージャーとは管理者であり、メンバーにルールを伝え、それに従っているかどうかをチェックしうまくいっていない時は改善する存在である。プロジェクトを成功させるためには、両方とも必要である。
イタリアの歴史の教科書によると、リーダーに必要な資質は知力/説得力/自己制御/肉体的耐久力/持続する意思を持つことだそうで、カエサルだけがこの全てを持っていたのだという。もしあなたが、これらの資質に欠けると感じたとしても、メンバーにゴールを見せ、それに向かって先頭を走ることによって、ごく自然にリーダーとしてふさわしい行動をとっている人になる。1500人の人を指揮し、黒部ダム建設のためのトンネルを、土砂が崩れ落ちてくるなか先頭に立って掘り進んだ笹島という人がいる。彼がたどり着いたリーダーのあり方は、「怒鳴っても駄目、甘やかしても駄目、惚れさせること」だという。
リーダーはプロジェクトを一人で行ってはならない。
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