人はみな、できるかぎり大きな快楽を手に入れて、できるかぎり痛みを避けたいという性質を持っている。だがそのために、瞬間の快楽に身をまかせ、長期的には痛みを引き起こす、あるいは大きな快楽である目標を達成できなくなってしまう。ジャンクフードや喫煙をやめられなくて、結果として健康を害するケースなどがその例だ。
しかし、成功者たちは、長期的思考をもって快楽を遅らせることに長けている。そのためにはまず、自分が大いにモチベーションを感じる長期的ゴールを設定し、さらに自己規律をするということが非常に大事になる。
日々の苦痛の習慣をこなすことに十分大きな意味がありさえすれば、痛みは快楽へと変わる。よって、本当にワクワクするゴールを設定するということが重要である。
また、成功者たちは、長期的なゴールのために必要な日々の行動を設定し、自己規律をもって習慣化している。ただ、痛みを我慢するやり方だと続かないので、習慣が形成されるまでは快適な方法で規律を守るようにするとよい。たとえば目標がダイエットであり、1日45分の運動が必要であっても、1日5分からはじめ、運動を苦痛と思わなくなったころに、徐々に時間を長くする。
モチベーションとは、人それぞれに異なる欲求に突き動かされて生まれるものである。
著者の場合、「毎月1万ドルを稼ぎたい」という望みの裏にあったのは、「息子と一緒に暮らしたい」という欲求だった。そのことを明らかにした、あるアメリカのサクセスコーチは、著者に毎日20分「タイにいる息子と一緒に暮らすために、私は何でもする」と声に出してインカンテーションをするという提案をした。インカンテーションとは、プラシーボ効果を発見したことで知られるフランスの自己暗示療法の創始者、エミール・クーエがはじめた、感情を伴ったアファメーションや自己暗示のことだ。
人は、決まった思考を繰り返す傾向があり、その思考によって行動が支配されていることもよくある。したがって、ほかの思考を塗りつぶす勢いで、成功をもたらす1つの思考を繰りかえすことが効果的なのだ。
インカンテーションを行なうには、目標を達成せねばならない、やむにやまれぬ理由、自分にとって説得力のある理由を選ぶことが大切だ。
しかしときにはそこまで切実な一つの理由が見つからないこともある。著者は、息子と暮らすということを実現してしまったのち、モチベーションの欠如に苦しんだ。そうした場合は、たくさんのやむにやまれぬ理由を見つけて、数を増やす必要があるのだ。著者は、新車を買う、行きたかったセミナーに参加する、など、いくつもの「月に1万ドル稼ぎたい」理由になるものを書き出し、写真やグラフィックスで1枚のビジョンボードに表した。
成功のために重要な習慣のひとつは、日々モチベーションを起こさせることだ。毎日20分間のインカンテーションとビジョンボードは最高のモチベーションを保つための大きな力になる。
高いモチベーションを持っていても、ゴール達成を妨げるいくつもの障害は現れる。たいていの障害は自信の欠如や時間不足など、リソースの欠如によるが、自分の無意識の思い込みが自分の行動の邪魔をしてしまうこともある。
ロイ・バウマイスターの調査(1998年)によると、日々の行動の95%は無意識のうちに起こっているのだという。つまり、理想の人生をかなえるためには、
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