ハーバード大学の研究によると、就職や昇進の決め手となる要素は、85パーセントがその人の態度であり、残りの15パーセントが特定の知識や計算能力なのだという。知識や計算能力を付けるため、教育に多大な努力と投資がなされているが、人生の成功にはわずか15パーセントしか寄与しないという点は驚きである。本書は成功の85パーセントに関する本だ。成功の基本は態度にある。そうであるならば、自らの人生に対する態度をあらためて見直してみてはいかがだろうか。
とあるダイヤモンドの話がある。アフリカに住む農家の人が幸福に暮らしていたところ、ダイヤモンドの素晴らしさを語る賢者に出会った。賢者によれば、拳ほどのダイヤモンドは、一国の価値にも近い値段がつくのだという。幸福なはずだった農家の人は満たされない気持ちになり、農場を売りに出し、ダイヤモンドを探す旅に出た。アフリカでも欧州でも、まったくダイヤモンドが見つからず、絶望して自らの命を絶った。
一方で、その農場を買った人物は、農場を流れる小川のほとりで輝きを放っている石を見つけた。その石をリビングに飾っていると、賢者がやって来てそれはダイヤモンドの原石だと言った。その農場は、ダイヤモンドが山のようにあったのだ。
この話には様々な教訓が含まれている。態度が正しければ、チャンスは足元に転がっていること。チャンスはやって来るときよりも去っていくときに気づきやすいこと。一回のチャンスは一度きりであること、などだ。
私たちは一人の人間であり、職場でも自宅でもその振る舞い方は変わらない。家で誠実な人は職場でも誠実であり、家で不誠実な人は職場でも不誠実なものである。では態度はどのように形成されているのだろうか。そのほとんどは、発育期に形成されているが、改められるものでもある。主に、環境、経験、教育の3つが態度の形成に関わっている。
1.環境
態度形成は、それがポジティブなものであれ、ネガティブなものであれ、環境によって影響を受ける。特に家族の環境、学校の環境や職場環境、メディアなどの社会的な環境、経済的な環境から影響を受けやすい。例えば、ある家族は皆礼儀正しく、他の家族は皆無礼だったりするものだ。
ポジティブな環境下では最も能力の低い人でも成果が上がり、ネガティブな環境下では高い能力を持つ人も成果が上がらない。だからこそ、自分のおかれている環境や、自分が作り出している環境を振り返って見直してみると良いだろう。
2.経験
人生の中で起きた出来事、経験したことは、私たちの態度を決定づける。ポジティブな経験は態度を前向きにするし、ネガティブな経験は慎重な態度につながる。
3.教育
教育とは、どうやって生きる糧を得るかだけでなく、どう生きるべきかを教えてくれるものだ。私たちは情報の海で溺死寸前であると同時に、知識と知恵に飢えてもいる。効果的に応用することで、知識は知恵になり、知恵は成功に結びつけられる。
ポジティブな態度には例えば次のようなメリットがある。
・性格を明るくする
・エネルギーが湧いてきて、活動的になる
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