日本には「我慢強さ」が美徳とされる文化があるが、人間は誰しもそんなに強くはない。うつ病など、何らかの精神疾患を患っている人が数百万人にものぼる今こそ、刺激をプラスに転用してエネルギーに変える「しなやかさ」が必要とされている。これが「レジリエンス」の本当の力である。
レジリエンスは一般に「復元力」「回復力」などという訳語があてられ、「困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生き延びる力」というような意味で使われている。研究によって、レジリエンスは、学んで練習を重ねることにより誰もが技術として身につけられることが証明されている。
様々な領域で「一流」の活躍をしている人と、仕事や人生までも辞めたくなってしまった人では、たった一つ決定的に違うことがある。それは「困難や失敗の捉え方」である。前者は困難や失敗を成長の糧と解釈し行動を起こし続けるが、後者は失敗や変化を恐れて平穏に生きていきたいという気持ちが強い。
成功者たちは、困難や失敗をしたときに、もちろん 「絶望感」を感じているが、彼らは絶望した自分を客観視して俯瞰で見ることができるのである。そうしたレジリエンスの技術を手に入れているともいえる。
絶望の真っ只中で「客観視」をするのは難しく感じるかもしれないが、まずは自分が感じたマイナス的な感情や違和感を丁寧に掘り下げてみるとよい。困難や絶望感には必ず理由があり、そこを掘り下げると、立ちはだかる壁は一段ずつ上ることができる階段だと気づく。実現可能な小さなことを見出す事によって、一歩ずつ前に進むことができる。
うつ状態になりやすい人は、問題や悩みは時間とともに形状が変わるのだと意識できず、現状だけで物事を判断して全ての可能性を遮断してしまう。「時間」と「空間」のコントロールが苦手なのである。
レジリエンスを発揮できる、「時間」をコントロールできる人は、過去に起こった事実は変えられないが、過去の捉え方を変えて他人に対する自分のアプローチを変えれば、未来を変えることが出来ると考える。
「空間」をコントロールできる人は、できること(自分の課題)とできないこと(他の課題)を切り離して、自分にできることに力を注ぐ。
また、成功者たちは、例外なく、なぜ働くのか、なぜ仕事をするのか、といった「なぜ」にこだわる。「なぜ」を追求して行動することにより、固有の生き方があらわれてくる。
レジリエンスを発揮する人は、そうでない人に比べ逆境体験が爆発的に多い。「なぜ」という目的意識を持って行動を起こすと、山のような逆境が訪れるからだ。しかし、自ら獲得した逆境は、訪れるべくして訪れたものであり、自分に乗り越えられないはずがないと考えることができる。だから、レジリエンス・マインドを持った成功者たちは、ある意味逆境慣れしており、新しい逆境がやってきても立ち向かうことができるのだ。
レジリエンス・マインドを発揮する人は、困難にぶち当たったときに必ず「思い込みに気づく」という作業を行う。
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