目標を達成するには、「PDCAサイクル」(Plan-Do-Check-Action)を回せと、よく言われる。行動したら、その成果を常にチェックし、問題があったら計画を見直すというサイクルだ。しかし実際には、サイクルが途中で止まってしまうケースが多い。具体的な成果が見えない、マンネリ化して飽きてしまうといった状態になるからである。
行動分析の結果、PDCAサイクルを回し続けるためには、周りの人との関係性を利用する「協調学習」が有効であることが判明した。CとAの間に「フィードバックを取り入れる(F)」を加えたPDCFAサイクルにすることで、他者のさまざまな価値観や視点から、新しいアイデアを得られるため、断然、目標達成に近づくのである。
目標達成する力は、能力でも根性でもなく、技術である。著者は、この技術を「目標を立てる技術」、「行動を続ける技術」、「行動を振り返る技術」、「人から吸収する技術」、「行動を変える技術」の5つに分類し、本書で紹介している。
目標を達成するには、「正しい目標」を立てなくてはいけない。「正しい目標」には、いつまでに達成するのかという期限が必要だ。目標を立てたときに、前向きな感情が湧いてくることも大事なポイントである。そのうえで、「問題」「課題」「成果」の三つを組み合わせた、正しい構造の目標をつくるための4ステップを紹介しよう。
(1)問題を洗い出す:「問題」とは、あるべき姿(目指すべき結果や状態)と現状との差を示す。この「問題」を考えられるだけすべて洗い出すのである。ここで解決の難易度を考えてはいけない。
(2)問題を選ぶ:数多く洗い出された問題の中から、優先順位にしたがって、解決すべき問題を絞り込む。無条件に優先すべき問題は、重大なリスクを及ぼすかどうか、業績に著しくインパクトがあるかどうか、そして、それを解決しないと次に進めないかどうかという性質があるものである。
(3)課題を設定する:絞り込んだ問題が発生している真の原因を考える。判明した原因を裏返して、取り組むべきことに置き換えると、それが「課題」となる。例えば、野球チームの優先すべき問題が「守備が弱いこと」となったら、「なぜ弱いのか?」という問いを繰り返し、「足腰の弱さ」という原因を突きとめ、「足腰を徹底的に鍛える」という課題を設定するのだ。
(4)成果を明確にする:最後のステップは、設定された課題に取り組んで得られる結果、つまり「成果」を明らかにすることである。達成期限と数値目標を入れることがカギとなる。
こうしたステップを経てできた、行動につながる「正しい目標」を立てることが、目標達成に不可欠なのである。
目標を立てたら、具体的な行動を計画する段階に入る。目標を達成するには、行動し続けること、つまり行動習慣が重要になる。単純でシンプルな行動であればあるほど、続けやすく、高い成果をあげやすい。
行動を続けられないのには、原因がある。著者は、のべ1万人以上の行動実践のデータを分析して、次のような「3大根づかない行動習慣」を発見した。
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