学生のカンニングとは、正解を書き写すことを指す。これは不正な行為で、やってはいけないことだ。しかし、サラリーマンのカンニングとは、不特定多数の情報の中から、自分にとって有益な情報をチョイスし、ビジネスとして応用するという意味になる。大人のカンニングは不正行為ではなく、むしろ新しい商品やサービスなどを生み出す発想の源泉にもなりうる。
ビジネスの世界には正解もなければ模範解答もなく、何をカンニングするか、それをどう応用するかはあなた次第である。大人のカンニングは成功事例を自分のビジネスにどう活かせるかだけを考えれば良いし、いつでもカンニングして良い。大人のカンニングに大切なことは、同業他社で成功したものを真似してもそれは「パクリ」になってしまうので、全く異なる業界の成功事例を自分の業界で上手に使えるよう変形してトップを狙うことだ。
カンニングは新しいビジネスの卵である。そして、世の中はカンニングできる事例に満ちている。その気になって世の中の成功事例を見て「大人のカンニング」をすることで、ビジネスセンスを鍛えるトレーニングができる。
大人のカンニングはサラリーマンだけに与えられた権利である。老舗時計会社のシチズンに勤めていた著者自身も暢気に会社にぶら下がり、30歳の時にとうとうリストラ予備軍になってしまった。これではだめだと一念発起し、社内ベンチャーを創業し、アウトレットモールにメーカー直販のアウトレットショップをオープンさせた。
その時に参考にしたのが、「スーパーマーケットのカニ缶」だ。なぜならば、スーパーのカニ缶と時計が坪単価という点でとても似ているからだ。缶詰は平べったく小さいので、たくさん重ねることができる。加えて、カニ缶は缶詰の中で特に高い商品だ。即ち、他の缶詰に比べ狭い面積で高い売り上げを期待することができる、坪単価の高い商品なのだ。
そこで著者はカニ缶と似ている時計なら坪単価の高いお店が作れるはずだと閃き、通常20坪で出店するところ10坪で出店するなど坪単価を高くするために様々な工夫を行った。結果、アウトレット事業は大成功。東証一部上場の老舗メーカーにおいて、平社員からグループ最年少の役員になれた。カニ缶を自分の仕事に応用することができたからこそ、ビジネスを成功することができたのである。
大人のカンニングに必要なステップの一つ目は、情報をストックする力の「情報収集力」だ。言い換えると、カンニングするには、まずはよい素材(情報)が必要だ。料理と違い、カンニングの素材(情報)は腐らず、鮮度を求められない。何年ストックしてもよいし、いつでも使うことが可能だ。そしていつ使ってもよいように、役に立ちそうな素材を予め収集しておくことがポイントになる。
しかし、ここで大切なのは世の中に溢れている情報のうち、どれが自分のほしい情報なのか、どうすればしっかりキャッチし、活用できるのかを知ることである。この時に最も重要なキーワードは、
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