「出会ったときの挨拶の仕方にこそ、人となりが表れるものである」。本書ではあるスイスの牧師の言葉が引用されている。仕事では、専門知識や技能を高めることが重要だが、一緒に働きたいと思えるような礼儀正しい振る舞いも同時に評価されている。相手に敬意を払い、関心があるということを示しつつ、感じよく話そう。
「仕事でも社交の場でも、改まった席でも気軽な集まりでも、新たに誰かがやって来たら、相手の性別に関係なく、男性も女性も立ち上がって迎え」るように心がけよう。先に到着した人は座って待っていてもよいが、後からそこに来た人には座ったまま挨拶をするのではなく、必ず立ち上がって迎えるのが礼儀だ。立ち上がるのが困難な狭い場所であったり、怪我をしていたりする場合には一言詫びればよい。
仕事で紹介役を務める際には、それぞれの職務を踏まえ、地位の低い人を高い人に紹介する。まず役職の高い人の名前を呼びかけ、introduce+to you+名前 という言い方をする。悪い例は、I’d like you to meet+名前 のように、語順がyou to になってしまう言い方だ。地位の高い人にこのような言い方をしてしまうと、紹介する側とされる側が入れ替わり、地位の高い人が低い人の「お目にかかる」ような印象になってしまう。本書に書かれているように「ユー・ツー」と口にするのはロックバンド「U2」の話をするときだけ、と覚えておけば忘れないだろう。
自社の上司を顧客や取引先に紹介する場合は、相手より上司の役職が上であっても必ず取引先の相手を優先させる。この点は日本と同じだ。ホール夫人を大統領に紹介したい場合の言い方は、Mr. President, may I present to you Mrs. Hall? となる。
そして、相手から特別ファーストネームで呼んでほしい、という申し出があるまでは勝手にファーストネームで呼んだりせず、Mr.(ミスター)やMs.(ミズ)と姓で呼ぶ。
ビジネスの場では性別に関わらず役職を優先させるが、社交の場では女性に対し男性を紹介するのがマナー。ただし、男性の方が明らかに高齢である場合には、年長の人に年少者を紹介する作法を優先させる。
下記の3原則を覚えておけば間違いないだろう。
・身分の高い人に低い人を紹介
・女性に男性を紹介
・年齢の高い人に若い人を紹介
誰かに紹介されたら、「お目にかかれて嬉しいです、ミズ・モーガン」というように、名前を呼びかけて挨拶をすることで、きちんと紹介を聞いていたことを伝えられる。
人が集まるカンファレンスやパーティーなどで紹介してくれる人がいない場合には、自己紹介をしよう。片手を差し出して握手を求め、笑顔で「こんにちは、マーク・スティーヴンズです」というように挨拶をすればよい。
会話がうまくなる鍵は聞く能力にかかっている。
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