「外資系エグゼクティブ」の働き方

どの会社でも結果を出す
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「外資系エグゼクティブ」の働き方
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「外資系エグゼクティブ」の働き方
出版社
日本実業出版社
出版日
2015年06月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

著者は世界で活躍する多くの本物のエグゼクティブに仕えた経験から、彼らがある5つの点を共通で備えていると語る。それを書き記したのが本書だが、彼らを間近で定点観測しなければ知りえないリアルな内容が、著者の温かくも鋭い視点で書かれている。

日本企業にありがちな年功序列や学歴偏重、役職が上がることで陥りやすいエゴや奢り、リスクを避ける姿勢などのマイナス面も一刀両断している。「勘違い上司」を持つ読者には痛快であろうし、役職ある立場の読者には耳の痛い話もあるだろう。しかし、決して外資系が一番、という上から目線で日本企業のあり方を批判しているわけではない。根底には日本人や日本企業への深い愛情があり、世界基準のビジネスを目の当たりにしてきた著者だからこそ、世界に立ち遅れた日本のビジネススタイルに憂慮していると言えるだろう。

著者が前書きで「日本人と日本企業が本当の意味でのグローバル化を達成するきっかけになってほしい」と述べているように、世界を身近に感じるほど著者の焦燥感と切迫感は切実なものとなったのだろう。「ゆでガエル」状態になりつつあると揶揄される日本だが、その気になれば誰でも変わることができる。ビジネスのシーンがメインになっているが、視点を変えれば人生の生き方、取り組み方への指南書ともなる。現状に甘んじていないか、視野を狭めていないか、自身の立ち位置を今一度確認できる貴重な一冊だ。

著者

フラナガン 裕美子
1967年生まれ。津田塾大学英文学科卒業。スイス・ユニオン銀行を経て、バンカース・トラスト銀行から秘書のキャリアをスタート。以降、ドイツ証券、メリルリンチ証券、リーマン・ブラザーズ証券などの5つの外資系企業と日系企業で、日本人、アメリカ人、イギリス人、アイルランド人、スイス人、オーストラリア人、香港人、韓国人という8カ国のエグゼクティブをサポート。企業内の異文化コミュニケーションにまつわる、ありとあらゆるストレスを経験するも、ベストパフォーマンスを発揮しながら適応し、すべての上司に仕事を高く評価される。2012年、ノムラ・アジア・ホールディング副会長付秘書のポジションで同社を退職し、独立。現在は、国際コミュニケーションのコンサルティングに従事している。

本書の要点

  • 要点
    1
    5つの外資系企業で8カ国のできるエグゼクティブに接してきた著者が、「上に行ける人」の行動法則にある5つの共通点を分かりやすい事例とともに明かしている。
  • 要点
    2
    日本人が真のグローバル化を目指すためには、自国の強みや良さを捨てずに、他国の利点を吸収し、取り入れることが必要だ。世界基準の常識やビジネスのやり方を先入観なく取り入れてほしい。
  • 要点
    3
    できるエグゼクティブは上を目指す強いエネルギーを根底に持ち、精神力と柔軟性、知識と仕事力を武器に日夜努力を続けている。

要約

「正しい」ワンマンスタイルで人は動く

惹きつける魅力に人はついてくる
Purestock/Thinkstock

「世界中どの会社でも結果を出す人」には5つの共通条件があるという。一つ目は「正しい」ワンマンスタイルで人を動かすことだ。これは部下を守る決意と責任を取る自信が根底にあり、その上で状況を分析し、冷静な判断のもとで手腕を発揮する姿を指す。部下の尊敬は役職ではなく、実力と態度に集まるのを忘れないこと。もし自身に地位やお金がなくとも部下から尊敬されるか、一度考えてみるとよいだろう。

また、できるエグゼクティブは秘書や側近を単なるサポート扱いせず、能力に見合う仕事を与えてフル活用する。優秀な人材を自ら選び、チャンスを与えて育成することが結果的に仕事の効率やレベルを上げていく。育成は「アメとムチ」を同時に使いこなす手法で行う。ポイントは「ムチ」を振るったあとは、「きちんと君を見ている、努力したら見合う評価を与える」というサインを見せることだ。

エグゼクティブが部下の仕事を把握し、マネジメントすることは責務の一つだ。できる上司はピンポイントで重要点を抑え、途中経過は部下に任せ、結果は必ず確認する。部下がミスを犯した場合は叱りつけるべきだが、上に対しては徹底的に部下を守るのが上下いずれの評価にもつながるのを忘れてはならない。スタッフを大切にするコミュニケーションが仕事の質を高めるのだ。

リスクヘッジと決断力の磨き方

多くの代替案を持つことがエグゼクティブの証
designer491/iStock/Thinkstock

第二に、ビジネスではリスクが隣り合わせであり、できるエグゼクティブたちは問題への対応能力が共通して高いという特徴を持つ。彼らは決してリスクを避けず、かつ大きすぎるリスクは完璧に回避する対処法を身につけている。そのために必要なのが情報収集の力。本書の10のチェック項目を参考にされたい。ちなみに「噂話」も貴重な情報源の一つである。もちろん自らの口からは漏らさないのがエグゼクティブの心得だ。

日本人はとかくリスクを取りたがらない傾向があるが、リスクの先にはチャンスがあり、行動は意外に難しくないことを忘れないでおきたい。同時に「NOを言えない日本人」はビジネスではマイナスになる。NOを言わないことで相手と自分の時間を無駄にしてはならない。

そして、何より最大のリスクヘッジとなるのは常に「クビになる覚悟」を持つことだ。

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要約公開日 2015.08.07
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