ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか

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ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか
出版社
出版日
2015年04月21日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

世界的に名高いハーバード大学経営大学院(ハーバードビジネススクール)では、どんなことが教えられているのだろうか。本書によると、同大学院で行われているのは、リーダーを目指す人に向けた世界最高の教育であるという。学生たちが授業で徹底的に叩き込まれるのが、リーダーとしての思考様式と行動様式だ。

本書に登場する教授たちは、優れたリーダーが局面ごとにとるべき考え方や行動と、その理由を、世界中の具体例とともにわかりやすく説明してくれる。ビジネスの現場で実際に役立てられそうな内容が満載である。また、自分の上司が本当の意味でリーダーといえるのか、所属する組織でこのまま働き続けてもいいのかといった、ビジネスパーソンが抱きがちな疑問を解決するためのヒントも得られるはずだ。

すべての人が組織のリーダーとなるわけではなく、「自分はリーダーになるようなタイプではない」という人もいるだろうが、リーダーの思考様式や行動様式は、人間としての良心や正しい生き方に通じるものが多く、その本質を知ることは、長い人生の中での「生きる指針」を与えてくれるだろう。同大学院で授業を受け、人間としての本質的な生き方を実際に学ぶことができる学生たちは、恵まれた立場にいるといえる。そうしたエッセンスをこの一冊で知ることができるのは、非常にありがたいことではないだろうか。

著者

佐藤智恵
1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。2001年米コロンビア大学経営大学院卒業(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局を経て、2012年作家・コンサルタントとして独立。『世界最強MBAの授業』(東洋経済新報社)、『世界のエリートの「失敗力」』(PHPビジネス新書)など著書多数。2004年よりコロンビア大学経営大学院の面接官。近年はテレビのコメンテーターも務めている。

本書の要点

  • 要点
    1
    お金のためではなく、自分の仕事がどのように世の中の役に立ち、自分がどんなときにその仕事の意義を感じるかを考えて仕事をすることが必要である。また、お金の使い方は、リーダーとしての資質があるかどうかにも関わってくる。
  • 要点
    2
    優秀なリーダーは、周囲の人の立場を考え、部下が成長できるようにサポートをする。また、周囲の人の意見にも耳を傾け、助言を得ようとする。
  • 要点
    3
    本物のリーダーとなるためには、過去や常識にとらわれず、何が正しく、どうすればイノベーションが生まれるかを常に考えるべきである。

要約

お金のために働かない

世の中の役に立つために仕事をする

人間はお金だけを目標に何年も働けない。自分の仕事がどのように世の中の役に立ち、自分がどんなときにその仕事の意義を感じるかが重要である。肩書を得ることを目的に働いていると、結果的に肩書を得られない。本物のリーダーは、世の中の役に立つために仕事をしている。

成功するリーダーのお金の使い方

成功するリーダーは、成功する前から、少額でも寄付を続けている。欧米では、社会的に恵まれた地位にある人は、社会に貢献する義務があるという精神(ノブレス・オブリージュ)が浸透しているからだ。寄付をすれば一流の人に近づける。

ハーバードの教授たちは、学生たちに、働き始めたら貯金をするように勧める。ある程度のお金があれば、仕事が自分の倫理や価値観とずれていると感じた時に、卒業できるからだ。

また、ハーバードでは、好きな仕事を追求した方が稼げると教えている。好きなことならば、続けていても苦にならず、得意なことなので、人よりも何倍も速く成果を出すことができるからだ。

優れたリーダーは、限られた資金や人材で数倍、数十倍にビジネスを拡大していく方法を考える。マイケル・ノートン教授は共著書の中で、目に見えない価値のための5つのお金の使い方を挙げ、これを実践すれば幸せを感じることができると述べている。成功するリーダーは、会社でも家庭でもこうしたお金の使い方をしている。

リーダーとしての人間関係

周囲の人の立場や利益を考える
Catherine Yeulet/iStock/Thinkstock

本物のリーダーは、自分の周りにいる人を大切にする。思いやりを示した方があらゆる場面でビジネスがうまくいくことを知っているからだ。また、彼らは難易度の高い仕事を部下に任せている。部下が高いレベルの仕事ができるようになることが、自分の加点にもつながるからだ。そのうえで、部下の仕事が世の中の役に立っていることを部下に繰り返し伝えることが大切である。それによって、部下は自らの価値を再認識し、仕事にやりがいを感じるようになるからだ。

また、優れたリーダーは、各国の文化や慣習の違いを謙虚に受け入れる。一方、偽物のリーダーは、現地のニーズに耳を傾けることなくビジネスを進めようとする。これでは、グローバルビジネスを成功させることはできない。

イノベーションの生み出し方

新しいことに反対する人は、自分に自信がなく、変化に対して恐怖心を抱いていることが多い。恐怖心を希望に変えていくことがリーダーの役目である。イノベーションは多くの人たちのアイデアを組み合わせることによって起こせるものである。リーダーの役割は自分の意見を押し付けることではなく、部下が新しいことに挑戦できるような環境づくりをすることだ。

リーダーがすべきこと
shironosov/iStock/Thinkstock

優れたリーダーは成長しようとする社員を全力で後押しする。偽物のリーダーは、できる部下を自分のライバルだと考える。リーダーの仕事は、部下を生かして昇進させることであり、それがリーダーとしての評価を高めることにつながる。

また、自らが退任しても、ビジョンが根付き、退任後も成長を続ける組織を残すのが一流のリーダーだ。

グローバルビジネスで人を動かす鉄則は、「相手の利害に訴える」こと。相手の利益を素早く察知し、ノ―と言わせない交渉をするのが優れたリーダーである。

コミュニケーション

一流のリーダーが言うべきこと

「リーダーは自分から部下に対してアドバイスを求め、ネガティブな意見も聞き入れる努力が必要」であると、ロバート・スティーブン・カプラン教授は言う。

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要約公開日 2015.08.14
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