外資系コンサルの知的生産術

プロだけが知る「99の心得」
未読
外資系コンサルの知的生産術
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プロだけが知る「99の心得」
著者
未読
外資系コンサルの知的生産術
著者
出版社
光文社
出版日
2015年01月17日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

巷には多くのビジネス書が出版されており、現役コンサルタントや元コンサルタントが、論理的思考、仮説思考などの思考法について解説した書籍を手に取ってきた人も多いだろう。それらの本を読んだときには「ふむふむなるほど」と思ったものの、いざ実務の現場にいくとなかなか学んだことを活用できなかった、という思いを感じている人は多いのではないだろうか。

また、著者は大手広告代理店やコンサルティングファームで研修トレーナーとして「知的生産の技術」を指導してきたが、どんなに頭脳明晰で高学歴な人材でも「動き方」を知らないとまったく知的成果は出せないという。本書はまさにそんな「思考力はあるのに実社会で評価されるような知的生産物を生み出せていない」ビジネスパーソンに向けて書かれた一冊であり、巷にあふれるビジネス書の中でもより具体的なアクションにまで言及している。知的生産を生業とする広告代理店やコンサルティングファームでも、「思考の技術」についてのトレーニングはほとんど行われておらず、具体的に手や足をどう動かすかという「心得」のトレーニングが行われているという実態の中で、価値のある一冊になろう。

著者がこれまでの経験から、ハイレベルな知的生産物を長期に渡って生み出し続けていくためのツールとしてまとめた99の「プロの心得」をぜひ習得し、これまで学んできたことを知的生産物に落とし込む技術を高めていただきたい。

ライター画像
山下あすみ

著者

山口 周
1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、A.T.カーニー等を経て2011年より組織開発を専門とするヘイグループに参画。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成、キャリア開発、新しい働き方研究。著書に『グーグルに勝つ広告モデル』『天職は寝て待て』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    「論理思考」や「仮説思考」といった「思考の技術」だけを高めても知的生産性は向上せず、「行動の技術」いわゆる「心得」を学ぶことが必要である。
  • 要点
    2
    「心得」は知的生産のプロセスに沿って「知的生産の『戦略』」「インプット」「プロセッシング」「アウトプット」の4つに分けられる。
  • 要点
    3
    さらに、知的生産のクオリティや効率を中長期的に高めていくためには、自分という知的生産のシステムの中の「知的ストックを厚く」していくことが大事である。

要約

知的生産の「戦略」

戦略策定

なんらかの知的生産を行うとき、何から手をつけるべきかというと、それは「知的生産の戦略策定」である。知的生産によって付加価値を生み出すためには、自分の知的生産物を他の知的生産物とどのように差別化するか、特に「顧客がすでに持っている知識との差別化」が最も重要になる。

顧客の知らない「新しさ」を出すには「広さ」と「深さ」の2つの方向性がある。具体的には、顧客がまだ気づいていない問題を指摘し、問題意識を外に広げるのが「広さ」であり、顧客が抱えている不満について、今まで分からなかった原因を明確化することができればそれは「深さ」である。その方向性によって集めるべき情報が変わるため、情報収集に入る前に、どちらで勝負するのかを最初に整理することが重要である。

顧客と制約条件
Wavebreakmedia Ltd/Wavebreak Media/Thinkstock

情報収集に入る前に明確化すべきポイントは3つあり、「ターゲットとなる顧客は誰か」「求められている知的生産物のクオリティ」「使えるリソース(時間・お金・人手)」である。顧客があいまいなままターゲットを広げて作られたメッセージは切れ味を失ってしまうし、顧客が知りたがっていることのクオリティと、使用できるリソースから得られるもののバランスが取れていなければ、まず顧客との調整が必要になる。

知的生産における成功・失敗は、その知的生産物のクオリティで決まるのではなく、顧客の期待値と実際の成果物とのギャップで決まるため、初期段階においてこれらを明確化しておくことが重要なのである。

インプット

4つの情報ソース

ホワイトカラーが知的生産を行うに当たって活用できる情報ソースは大きく分けると「社内資料」「公開資料」「社内の関係者インタビュー」「社外の関係者インタビュー」であり、必要な情報に合わせてこれらを使い分けることが必要となる。市場規模や他社の業績などの定量的・統計的な情報については公開資料で手に入ることが多く、自社の強みと弱みや業界特有のリスクなどの定性的な情報については複数の関係者の声をまとめるしか解が得られないケースが多い。この中で「社外の関係者インタビュー」は必要な時間も長く、欲しい情報が聞き出せないリスクもあるため、最も注意する必要がある。情報収集においては他者が絡むところから早め早めに動くのがよい。

よい質問は、よいインプット
ferlistockphoto/iStock/Thinkstock

インタビューを行う時は、まず初めに「これだけははっきりさせたい」という問いを明確化し、それを聞き出すためにはどんな質問をすればいいかをリストアップする。その際にはより具体的な言葉を用いるようにし、質問の受け手が戸惑わないようにすることで期待している答えが得られやすくすることができる。つまり、よい質問は、よいインプットに直結するということである。

また、実際のインタビュー時には、分かったふりをしないということに注意する。なぜなら、分からないまま進んでしまうとその後の質問力が低下するからである。

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要約公開日 2015.08.24
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