読書には2つのタイプがある。それは、ビジネスパーソンとしての基礎体力を作るためビジネス書を狭く深く読む形と、ビジネスパーソンとしての個性を形成するための教養書を広く浅く読む形、である。
ビジネス書を狭く深く読むのは、定番・名著とされる本の数が少ないためだ。また名著の場合ビジネスに直結する示唆が得られるため、読了後に記憶や情報の整理をしなくともよい。一方で教養書の場合は、すぐビジネスや個人的な課題に結びつかなくても、後で立ち返ったり参照したりするため「読書ノート」を作成しておくことが必要だ。
読書に対する考え方も見直す必要がある。「せっかく買った本だから最後まで読み通さねばもったいない」という考え方で、自分の時間という希少な資源をムダにしている人が多い。そもそも読書は、本代の「消費」としてとらえるのではなく、本代+自分の時間を原資とし、知識や感動、あるいは仕事上の評価や昇進・昇給といったリターンを得るための「投資」として考えるべきだ。よって、読書時間をかけてもその分の見返りとしての知識や感動などが得られそうもなければ、別の本と付き合うことをすすめる。
時間をコストとするならば、10冊以上の本を同時進行で読むことも大切だ。工場や業務プロセスにおけるオペレーション効率を高めるには「アイドルタイム(滞留時間)」の縮小が最大のポイントだが、これは読書にもあてはまる。読書をすれば何回かに一度は必ず「今の気分にフィットしない」というものが出てくるはずだ。しかし、10冊同時進行で読んでいれば、気が進まない本を持て余すという時間がなくなる。
著者は、2002年5月、32歳のときに、広告業界から外資系コンサルティングの世界へと身を転じた。それまで経営学に関する体系的な知識をほとんど持たなかった著者は、経営学のリテラシーを身に着けるべく2年で主だった経営学関連の定番書を読了するというプランを立て、実行した。実際には、3年がかりで200弱冊を読破したという。
しかし著者は振り返ってみて、「読む量がこの1~2割だったとしても、9割の効果が得られただろう」と感じたという。凡百の書籍を浅く乱読するよりも、経営学の古典・原典にあたる書籍を絞ってじっくりと掘り下げて読むことこそが、経営のリテラシーを得ることにつながるのだと説く。そのような名著には、「経営の考え方」「ビジネスを考えるツボ」を皮膚感覚で学ぶことができるからだ。概要を浅くなぞるだけの「古典の解説書」では、そのような知的体力は身につかないだろう。
著者が「ビジネス書マンダラ」の中でもコアと位置付けている書籍は、
3,400冊以上の要約が楽しめる