タカラヅカ式 美しい人の作法の基本

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タカラヅカ式 美しい人の作法の基本
出版社
日本能率協会マネジメントセンター
出版日
2015年05月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

なぜタカラジェンヌは美しいのだろうか? 今をときめく宝塚歌劇団のトップスター、女優やタレントとして活躍する宝塚出身のOGたち。彼女たちは宝塚音楽学校での濃密な二年間で、歌や踊り、礼儀作法を徹底的に学び、真の「美しさ」を身につけていくのである。宝塚が求める「美しさ」とは、顔のつくりやスタイルだけではなく、一つ一つの所作、言葉遣い、立ち居振る舞い、そして「生き方」そのものの美しさを指している。

著者は14歳の時に宝塚の華やかな舞台に魅せられ、必死の努力で入学試験を突破し、軍隊のようだと評される厳しい「しつけ教育」を受けてきた。元雪組の男役として活躍した後、未来のタカラジェンヌたちを指導してきた彼女の体験談や、数々の学び、そして卓越したプロ意識には、目を見張るものがあるだろう。本書を読めば、なぜ宝塚が時代を超えてファンを魅了し続けているか納得できるはずだ。

宝塚歌劇団のモットーであり、宝塚音楽学校の校訓である「清く、正しく、美しく」を体現した「作法」を頭と体に染み込ませることは、決して簡単ではない。しかし、本書で紹介されている「心と芸を磨く掃除」や、表情、話し方、自己管理の方法を一つでも多く実践に移し、継続していけば、「なりたい自分」に近づくための強力な武器になってくれるだろう。一生モノの財産になる凛とした美しさと品格ある振る舞いを身につけたいすべての人にとって、一読の価値ある本だといえる。

ライター画像
松尾美里

著者

小嶋 希恵(こじま きえ)
ケー・アイ・イーミュージカルスクール代表。
昭和54年宝塚音楽学校入学、昭和56年宝塚音楽学校卒業。宝塚歌劇団に入団し、雪組として「ファースト・ラブ」で初舞台。宝塚歌劇団卒業後、宝塚音楽学校・劇団四季の受験校としてケー・アイ・イーミュージカルスクールを設立。代表講師として熱意ある指導に定評を得て、全国から入学者が集まり、毎年、多くの合格者を輩出。

本書の要点

  • 要点
    1
    「美しさ」とは内面からにじみ出るものだ。本当に美しい人は、日本独自の礼儀やマナー、規律といった「作法」が美しい。
  • 要点
    2
    美しい場所をつくることは、心を磨くことでもある。身のまわりをきれいにすると、初心に戻ることができ、自分自身を成長させようという気持ちが湧いてくる。
  • 要点
    3
    美しく輝き続ける人は、目標に妥協しない。嫌なことから逃げ出さずにケジメをつけることが、成長のきっかけとなり、自分自身の「芯」を強くしてくれる。

要約

美しさをつくる宝塚の作法とは?

厳しい「宝塚の作法」の本当の意味
Slavica Stajic/iStock/Thinkstock

近年約20倍の競争倍率を誇り、4500名を超える卒業生を送り出してきた宝塚音楽学校では、創立以来100年以上にわたり、厳しい「しつけ教育」が受け継がれている。通学路の歩き方や挨拶の仕方についても徹底されており、制服につける校章や名札の位置もミリ単位で決められている。宝塚の作法は100項目以上に及び、上下関係も厳しい。まるで軍隊のように厳しい作法こそが、宝塚の伝統的な美しさをつくりあげてきたのである。宝塚の作法の二大法則は、「自分がされて不快なことはしない」、「目上の人を敬う」というものだ。

「美しさ」とは内面からにじみ出るものである。本当に美しい人は、日本独自の礼儀やマナー、規律といった「作法」が美しい。宝塚の「清く、正しく、美しく」という教えには、「華やかな舞台に立つためには、自分に厳しく、いつも努力を続けなければいけない」という戒めが込められている。どんな場面でも自分を律し、美しくいることの大切さを説いた「生き方の指針」でもあるのだ。

宝塚には独特の作法がある。例えば通学路では、まっすぐ前を向き、二列で揃って道路の端を歩くのがルールだ。この経験は宝塚の舞台の名物ともいわれる「ラインダンス」の一糸乱れぬ美しさを培っている。一つ一つの作法には理由がある。何かをするときには「何のためにやるのか」を考えるクセをつけるとよい。意味がわかれば納得でき、自然と実践・応用できるようになって、作法に心が宿る。心からの敬意がこもった作法は、誰が見ても気持ちがいいものである。

礼儀と素直さを重要視する面接試験

宝塚音楽学校の入試で最も重要視されているのは、面接試験である。どんな問いに対しても、ハキハキと表現力豊かに大きな声で明るく答えなくてはいけない。面接官は、「この子は厳しいレッスンをこなしながら、舞台人として自分を高めていけるだろうか」という素質を見極めるのである。そこでは、容姿やスキルよりも、人間として最低限の礼儀と素直さがカギとなる。

地獄のガイダンスで気づいた「目標の大切さ」

晴れて宝塚音楽学校の一員となった生徒は、入学式の前に行われる一週間の「ガイダンス」を乗り越えなければいけない。著者にとっては、このガイダンスが宝塚での生活で最も苛酷だった。生徒としての心構えや掃除の仕方、集団生活の基本ルール、日舞の着付けなど、覚えきれないほど多くの規則や作法を教え込まれ、新入生は例外なくパニックに陥る。

このガイダンスの目的の一つは、「本当に宝塚の生徒としてやっていけるかどうか」を自問自答させるためだと著者は考えている。著者が苦しさに耐え抜くことができたのは、「あの夢の舞台に立ちたい」という目標があったからだ。自分を律し続けるパワーをくれるのは自分自身の夢なのである。

心と芸を磨く、宝塚の掃除

宝塚の掃除の真髄
ferlistockphoto/iStock/Thinkstock

宝塚音楽学校で最も有名な作法は掃除である。予科生(一年生)の一日は、毎朝一時間半の掃除から始まる。髪の毛一本、ほこり一つ残さないほどの徹底ぶりである。

宝塚の掃除の真髄は、ほうきで掃く、モップをかけるといった当たり前のことを徹底的にやりつくすことである。当たり前のことをどれだけできているかが、その人が美しく輝けるかどうかを決める。

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要約公開日 2015.07.01
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